2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02F00267
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川端 善一郎 京都大学, 生態学研究センター, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CHOI Kwangsoon 京都大学, 生態学研究センター, 外国人特別研究員
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Keywords | アオコ / ウィルス / 殺藻効果 / 溶存有機物 / バクテリア / UV effect / 生分解程度 / 有機物成分特性 |
Research Abstract |
ウィルスのhostとしてのバクテリアの増加に対してM. aeruginosaの体外排出溶存有機物(excreted dissolved organic matters ; EOM)の役割を紫外線(UV)の有無条件で評価した。UV処理前後のEOMの生分解程度と有機物の成分を比較した。UV光源としてはUVAとUVBランプを用いた。各処理後のEOMの成分分析はXAD-8、陽イオン、陰イオン樹脂を用いた。その結果、以下の3点が明らかになった。1)UV処理前のEOMはバクテリアによる分解し易い物質でしたが、UV処理後は難分解性物質に変えた。EOMの難分解性程度はUVのエネルギーが強いほど大きかった(例:UVA処理のEOMよりUVB処理の方で難分解性程度大きい)。2)UV処理後、EOMの濃度には変動がなかったがその成分には顕著な差が見られた。EOMの成分の中で親水性塩(hydrophilic bases ; protein-like fractions)は減少したが親水性酸(hydrophilic acids ; carboxylic acids-like fractions)は増加した。3)バクテリアによるEOMの生分解実験からUV処理前より処理後の方で親水性塩と共に親水性酸の成分にも分解が少なかった。これらの結果から、バクテリアの増殖に対してEOMの役割がUVの有無によって違うのがわかった。自然の中ではUVA及びUVBの短波長の紫外線が湖水の表層水まで到達し、さらにM. aeruginosaは湖水の表層水で大量発生するので表層水でM. aeruginosaによって生産されたEOMがUVを受けるとEOMの光変換(photo-alteration)によりバクテリアの増殖にも影響を及ぶ可能性が考えられる。また、ウィルスのhostとしてのバクテリアの減少はウィルスの増殖に影響を及び、M. aeruginosaに対してのウィルスの殺藻効果の低下も考えられる。
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