2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02F00274
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Research Institution | Kochi Medical School |
Principal Investigator |
椛 秀人 高知医科大学, 医学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黄 光哲 高知医科大学, 医学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 副嗅球 / 相反性相互シナプス / グルタミン酸受容体 / GABA作動性 / 長期増強 / ホールセル記録 / ノルアドレナリン / α受容体 |
Research Abstract |
交尾を契機に雌マウスに形成される交配雄のフェロモンの記憶は、妊娠の成立に不可欠な、生存価の高い記憶であるとともに、記憶学習研究の優れたモデルとしても有用である。なぜなら、フェロモン情報処理系の最初の中継部位である副嗅球に生じるシナプスの可塑的変化と学習が直接に対応しているからである。副嗅球の中継ニューロンである僧帽細胞は、副嗅球に内在する顆粒細胞との間に樹状突起同士の相反性相互シナプスを形成している。交尾刺激により駆動されるノルアドレナリン作動性神経-α受容体の活性化が引き金となり、この相反性相互シナプスに可塑的変化が生じるとの行動薬理学的および形態学的証拠が示されている。我々は、これまでの成果を基盤として、フェロモン記憶の分子メカニズムの解明を目指し、本研究を行い、下記の成果を得た。 1.副嗅球のスライス標本を用いて、僧帽細胞から顆粒細胞への興奮性シナプス伝達に長期増強(LTP)が誘導されることを捉えている。このLTPはNMDA受容体依存性に成立し、ノルアドレナリン(NA)により促進された。この系を用いて、長年不明であった記憶形成におけるNAの作用メカニズムを明らかにした。すなわち、NAはα_2受容体を介してLTP誘導を促進した。 2.副嗅球のスライス標本を用いて、僧帽細胞から自発性微小抑制性シナプス後電流(mlPSC)をホールセル法により記録し、この電流に対するNAの効果を検討した。NAはα1受容体を介してシナプス前性にmlPSCを促進することが判明した。
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