2002 Fiscal Year Annual Research Report
細胞-糖鎖高分子マトリクス間相互作用の解析による肝細胞のシグナル伝達機能の制御
Project/Area Number |
02F00276
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
赤池 敏宏 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金 相憲 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 細胞接着マトリックス / 糖鎖高分子上 / 肝細胞 / 接着挙動 / ASGP-R / 肝臓組織工学 |
Research Abstract |
細胞接着マトリックスとして設計された糖鎖高分子上での肝細胞の機能や増殖は、細胞表面と材料表面との相互作用、さらには細胞内のシグナルや遺伝子発現の制御によりコントロールできると考えられる。今まで、我々の研究結果から、ポリスチレン表面に吸着されている糖鎖高分子の種類や濃度による表面の幾何学的な構造が変化し、さらに肝細胞の接着挙動や応答性が変わることが示唆された。本研究では、糖鎖部位の異なる糖鎖高分子(PV-sugar)上における肝細胞挙動の違いを検討するために、ガラクトースの6位の-OH基を置換した新たな糖鎖高分子であるPV6Galの合成に成功した(論文投稿中)。単離してきた肝細胞をPV6Galなどの糖鎖高分子(PV-sugar)でコートされたPSプレート上に播種したところ、PV6GalはPVLAと同程度、肝細胞を接着させることがわかった。さらにPV6Galへの接着は、天然のASGP-Rのリガンドであるアシアロフェツインにより阻害され、またCa^<2+>イオンがPV6Galへの接着には必要であったことから、ASGP-Rを介した接着であることが示唆された。以上の結果から、ガラクトースの6位の-OH基が置換された新しいポリマーが合成され、肝細胞の接着基質になることがわかった。さらに肝細胞のPV6Galへの接着はASGP-Rを介していることが示唆された。これよりASGP-Rは6位の-OH基が置換されたガラクトースでも認識できると考えられる。 このPV6Galは、PV-sugar上における肝細胞挙動に対する糖鎖の役割を調べるためのよいモデルになるとともに、新しい肝臓組織工学用スキャフォールドになりうるものとして期待できる。
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