2002 Fiscal Year Annual Research Report
近現代における日本の在中国公使館・領事館に関する研究
Project/Area Number |
02F00282
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
小風 秀雅 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化研究科国際日本学専攻, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
于 紅 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化研究科国際日本学専攻, 外国人特別研究員
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Keywords | 領事館 / 公使館 / 幣原 |
Research Abstract |
本研究は、外務省の対中外交の最前線ともいえる在中国公使館と領事館に関する実態調査を解明することによって、近現代における日本の対中政策の全貌を解明することが目的である。 昨年11月末から現在に至る初期段階においては、1、在中国公使館と領事館に関する基礎史料を調査し、その設立などの史的展開を解明しようとした。おもに、外務省外交史料館など日本に現存されている史料の収集を行い、また中国の第一歴史档案館、北京市档案館および上海档案館での史料調査、台湾近代史研究所・国史館における史料収集を行うことによって、日本の在中国公使館と領事館の設立過程に関する基礎的なデータを作成した。その上で、領事館の増設は、日本の対中不平等条約の締結、開埠地、租界地および租借地の開設との関係を究明し、さらに外務省の対中外交の展開との関係を明らかにしようとした。 2、北京公使館と上海領事館に関する実態の調査と分析を行った。北京公使館については、南京国民政府の成立にしたがい、公使館南遷問題を中心として取り上げ、北京公使館区域の特殊性に注目しつつ、外務省の対応を幣原喜重郎と重光葵の対立として考察してきた。さらに公使館昇格問題をめぐる日本の全般的な対中外交を問われようとした。また、五・三〇事件をめぐって、上海領事館が在華紡、日本人居留民団と日本外務省の連携を考察することによって、中国ナショナリズム運動における上海領事館の役割を解明しようとした。 3、日本の満州進出における一つの拠点として、間島総領事館について実態解明を試みた。具体的には、領事館はどのように開設したのか、間島協約の締結とあわせてその史的展開を解明した。さらに、領事館は商埠地外の警察署の増設を通して日本の勢力を商埠地外へ拡張していく実態を解明した。これにより間島をめぐる外務省の政策を解明するとともに、間島総領事館の役割を明らかにしようとした。 今後は引き続き在中国公使館と領事館に関する基礎資料を調査し、領事館は中国進出企業との関わりがどのようになったのか、さらに租界地、付属地に対しどのように関わり或いは管理したのか、その歴史的変容の過程を明らかにしようとする。
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Research Products
(1 results)