2003 Fiscal Year Annual Research Report
日韓両国の地方自治制度の比較法的研究 ―特に都市計画の地方分権化に向けて―
Project/Area Number |
02F00286
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
芝池 義一 京都大学, 大学院・法学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CHOI CHOL HO 京都大学, 大学院・法学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 地方分権 / 地方分権一括法 / 機関委任事務 / 自治事務 / 法定受託事務 / 都市計画 / 関与 / 同意、協議 |
Research Abstract |
本年度の研究実績は、韓国の地方分権特別法の内容を、日本の「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律(以下、地方分権一括法という)」とそれに関連する地方自治法及び都市計画法の改正内容に照らして分析し、今後、韓国のあるべき地方分権および都市計画の在り方を摸索しようとする内容の論文を発表してものであった。 その論文の概要はつぎのようである。 1.日本の地方公共団体の事務の変化についての研究 日本の地方分権改革でその中核となっていたのは機関委任事務の廃止である。地方分権一括法では、国と地方公共団体の関係を上下・主従の関係から対等・協力の関係に転換するために、機関委任事務を廃止、地方公共団体の事務である自治事務と法定受託事務に再構成した。機関委任事務をすべて自治事務とせず、国家の関与をある程度認める法定受託事務という事務を創設したことは日本の憲法の地方自治の本旨に相応しくないといえよう。この法定受託事務も国家の関与の相対性を除いてはその法的な扱いは自治事務とはあまり異なることではないから、地方分権の推進のためには今後この法定受託事務(非本来的法定受託事務)の自治事務化が望ましいと思われる。そして、この事務の区別は事務の性質により振り分けられたこととは言えず、立法によって事務の範囲が決められるという批判論についても検討を加えている。 2.日本の都市計画制度の分権化についての研究 地方分権一括法に従って都市計画法は都市計画に係る事務の多くを自治事務とし、当該地方公共団体に委ね、地元の地域づくりやまちづくりができるようになった。すなわち、(1)都市計画区域の指定権限は、都道府県の権限に属する自治事務になったり、(2)用途地域の指定は、3大都市圏などを除いて、原則として市町村の権限となった。そこで、都市計画決定に当たっては市町村が中心的な主体となり、基礎的地方公共団体のまちづくりに関する自己決定権が拡充された。しかし、この都市計画の決定の際、国土交通大臣または知事の関与の手段として「同意を要する協議」が設けられ、完全な地方分権はできなかったといえる。 本論文は、こうした認識をふまえ、さらに分権化のメリットとディメリットについて検討を進めている。
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Research Products
(1 results)