2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02F00302
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
小林 秀行 国立天文台, 電波天文学研究系, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ISHITSUKA IBA JOSE KANAME 国立天文台, 電波天文学研究系, 外国人特別研究員
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Keywords | 電波干渉計 / メーザー |
Research Abstract |
星の進化の道筋の中で、未だ明確なシナリオが確立しておらず最も解明が急がれているのが、進化初期の星生成と、最終段に位置する質量放出と脈動変光を伴う漸近分枝星の物理である。これらの星は、孤立した準静的平衡状態で近似できる成年期の星と違って、激しい質量放出と星生成における降着を通じて周辺の星間ガスと物質をやりとりする動的状態にある。従って、星と星間ガスの相互作用を通じて進む銀河進化の観点からも、きわめて重要な段階である。このような特徴から、星周辺の物質流の動力学を把握することが、これらの星の進化を解明する鍵となる。この意味で注目を集めているのが、物質流と周辺ガスが衝突する領域で強いメーザー輝線を放つ天体メーザー源である。電波干渉法、とりわけ超長基線電波干渉法(VLBI)により、これらの天体メーザー源の分布を1天文単位以下の微細領域まで分解して物質流の詳細な追跡並びに物理状態の把握に使うことができる。我々は、天体メーザー源の位置観測を通じて銀河系の構造と力学を明らかにする新観測装置VERA(VLBI Exploration of Radio Astrometry)の立ち上げを進めているが、VERA計画は多数の天体メーザー源を大気位相揺らぎの影響を除去しつつ多基線で定期的に多数回観測する大規模な観測プロジェクトとして、星生成及び漸近分枝星研究にとっても決定的に重要なデータを提供する。VERAによるこの方面の研究の第一歩として、漸近分枝星からのはじめは等方的な質量放出流を双極的に変える「絞り込み」メカニズム及び星生成における分子雲コアの初期段階の解明をめざす。VERA装置はようやく試験観測をはじめ観測結果のデータが得られる段階になりこのデータを解析叉は解析方法も検討する中で解析を進めている。
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