2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02F00316
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川合 知二 大阪大学, 産業科学研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HOSSAIN Akther A. K. M 大阪大学, 産業科学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | パルスレーザー蒸着法 / 磁性酸化物 / 光誘起磁性 / 人工格子 / 巨大磁気抵抗 / スピネル型フェライト / スピングラス / 三次元カゴメ格子 |
Research Abstract |
レーザーアブレーション法により、原子レベルで磁気相互作用を制御した人工格子酸化物磁性体を創製し、新規な光・磁気・電気特性を発現させるとともに、その興味ある諸物性の発現機構と構造の相関をナノレベルで明らかにすることを目的として研究を推進した。具体的には、自然超格子構造を有するスピネル型フェライト薄膜における1)光磁気特性、および2)磁気抵抗効果の評価を行った。1)では、フェリ磁性体NiFe_2O_4に非磁性イオンZn^<2+>を添加することにより、原子レベルでスピンフラストレーションとスピンランダムネスを導入し、室温付近でスピンが凍結するスピングラス的挙動を発現させ(高温グラス磁性)、スピン凍結温度以下の温度領域において光を照射すると、グラス磁性が融解して磁化が増大することを見出した(高温光誘起磁性)。また、組成、酸素分圧および成膜速度などの各種作製条件を広範に変えて光磁気特性を評価し、またその励起強度および励起波長依存性を詳細に調べた結果、この光誘起磁性の起源が、磁性イオン間の光励起電荷移動と、それに伴う局所的な磁気異方性の変化にあることを見出した。また、2)において、NiFe_2O_4およびCoFe_2O_4スピネル型フェライトにおいて、Zn^<2+>添加による磁気抵抗特性の急激な変化を見出し、この現象が、スピンフラストレーションの増大によるナノレベルでのスピン配向の変化に由来するものであることを突き止めた。以上のように、室温付近の高温領域で多彩な物性を示す新規酸化物磁性体を創出することに成功し、デバイスとしての応用へと発展させていくために必要な基礎的知見を得た。
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