2002 Fiscal Year Annual Research Report
環境の不確定性を考慮した統計的構造ヘルスモニタリング法の構築
Project/Area Number |
02F00330
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Research Institution | The University of Tokyo |
Host Researcher |
阿部 雅人 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授
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Foreign Research Fellow |
XIA YONG 東京大学, 大学院・工学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 環境 / 不確定性 / 構造ヘルスモニタリング / MEMS / 自己診断 / 振動計測 / 自律システム / ネットワーク |
Research Abstract |
近年,社会基盤施設において,経年劣化に伴う事故が発生するなど,維持管理が重要な問題となりつつある.一般に,設計時に想定された諸条件は,現実の環境条件と異なるから,構造物の健全性を逐次モニタリングすることによって,非常時には警告や供用を停止するなどの必要なアクションを迅速にとると共に,不必要な補修や取替えを避けて維持管理費用を低減することを目指すのが構造ヘルスモニタリングである.本研究では,継続的モニタリングが容易な振動データ,特に常時微動を利用したヘルスモニタリング法の構築に向けての研究を進める.具体的には,既存の研究でその重要性が指摘されていながら,データ面および,理論面の不備から未だ十分に考慮されるに至っていない現実環境の不確定性に焦点を当て,実測・理論両面から統計的モデル化を図り,実用性が高い新たなヘルスモニタリング法の提案を行うものである.本年度は,具体的なセンサシステムとして,安価に密な振動計測ネットワークを構築可能なMEMS(Micro Electro-Mechanical Systems)センサシステムと分散データ収集に適した無線モバイル技術よりなる,自律分散型モニタリングシステムを独自に開発し,それを援用して上記検討を進める計画としている.現在のところ,MEMSにデータ解析アルゴリズムを組み込んでデータ収録を効率化すると共に,自己診断機能を持たせ,緊急時などには自律的に警報を発する機能を付与して自律システム化する検討を進めている.また,次年度に向けた検討として,開発したシステムを実際の長大吊橋に設置して空間的な振動挙動の基礎的データを得ることに成功した.さらに,モバイル通信能力を持たせて,分散的環境においてもネットワークとしての機能を確保し,高機能かつ現実的なモニタリングシステムを開発につなげる予定である.
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