2003 Fiscal Year Annual Research Report
生体吸収性ポリマーインプラントを用いた成長因子の調節除放
Project/Area Number |
02F00345
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
亘理 文夫 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ROSCA Iosif Daniel 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 外国人特別研究員
|
Keywords | 微粒子 / エマルジョン / ポリ乳酸 / SEM / レーザー散乱粒度分析 / 生分解性公高分子 / その場観察 / ドラッグ・デリバリーシステム |
Research Abstract |
従来のエマルジョンからの溶媒蒸発による微粒子形成法とその発展法はタンパク質やDNA等様々な物質のカプセル化に用いられる。しかしながらその技術は多分に方法論的であり、カプセル化や微粒子形成機構についての研究は数少ない。微粒子形成機構は粒度分布や形態に大きく関与し、微粒子の応用における内包物質の徐放などにも関与する。 本研究ではシングルおよびダブルエマルジョンにおける微小粒子の形成メカニズムを明らかにするとともに、微粒子への物質のカプセル化と放出挙動への影響を検討した。 本研究で用いたポリ乳酸は生分解性ポリマーとして広く用いられている材料の一つである。これを溶媒に溶解し、ホモジナイザーによって攪拌することでエマルジョンを作製し、微粒子のサイズ及び形態を光学顕微鏡、走査電子顕微鏡及びレーザー散乱粒度分析により調査した。 シングルエマルジョン中の粒子形成においては微小粒子の生成は溶媒の高い蒸発速度とポリマーの析出の複合効果による溶媒の消失によって促進された。粒子サイズは溶媒の蒸発が極めて早いため、エマルジョン形成過程の攪拌初期に決定されることが分かった。溶媒が短時間に消失する間に微粒子にカプセル化された物質の一部は流失した。エマルジョン及び生成微粒子の粒度分布は単一のピークを示し、凝集や破損は見られなかった。 ダブルエマルジョン中では粒子内部の水性相の存在によって異なる形態の粒子が形成された。溶媒消失の間に粒子内部の水性相の液滴はポリマーの析出による圧力で融合し、ポリマーによる粒子壁はカプセル内に包含された物質が一部流失する際に破壊され、孔を生じた。この孔を通じてカプセル化された物質は溶媒が蒸発するに伴い外部の水性相に分配され、粒子の使用初期における爆発的な放出に寄与することが分かった。 以上より初期の微小液滴から最終的な硬質の微小粒子に至る粒子形成過程における異なる挙動が明らかになった。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] Rosca Iosif Daniel: "Mechanism of biodegradable polymer microparticle formation by emulsification solvent evaporation method"第15回傾斜機能材料国内シンポジウム<FGM2003札幌>. 1. 34 (2003)
-
[Publications] Rosca Iosif Daniel: "Biodegradable Polymer Microspheres with Controlled Structure and Release Profile"第25回日本バイオマテリアル学会大会予稿集. 1. 233 (2003)
-
[Publications] Rosca Iosif Daniel: "Biodegradable polymer microparticles"厚生労働科学研究費補助金ナノメディシン分野 第一回研究成果発表会. 1. 24 (2003)
-
[Publications] Rosca Iosif Daniel: "Optical microscopic observation of the macroparticle formation in emulsification solvent evaporation method"平成15年度日本顕微鏡学会北海道支部学術講演会. 1. (2004)
-
[Publications] Rosca Iosif Daniel: "Microparticle formation in emulsification solvent evaporation method"厚生労働科学研究費補助金ナノメディシン分野 第二回研究成果発表会. 1. 64 (2004)