2002 Fiscal Year Annual Research Report
3つの酸素同位体比を指標にした海洋の基礎生産の評価
Project/Area Number |
02F00352
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
才野 敏郎 名古屋大学, 地球水循環研究センター, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
VEDULA VENKATA SUBRAHMANYA SRNIVASA SARMA 名古屋大学, 地球水循環研究センター, 外国人特別研究員
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Keywords | 酸素同位体 / 基礎生産 / 大気海洋酸素交換 / ガスクロマトグラフィー |
Research Abstract |
海水試料中の酸素ガスの^<16>O,^<17>O,^<18>Oの同位体比を高精度で測定するために、測定試料ガスから、ガスクロマトグラフィーによって迅速にかつ、同位体分別を起こすことなくアルゴンを除去する方法を開発した。この手法により、従来必要であったアルゴンに対する補正が不要になり、より信頼できる値が得られるようになった。 3酸素同位体比法では、^<17>Oの同位体比異常をΔ^<17>O=(δ^<17>O-0.521δ^<18>O)x1000と定義するが、この方法を相模湾の表層から500mまでの深度で得られた試料に適用したところ、Δ^<17>Oは表層100以浅で0-200per megの間で変動し、100m以深ではほぼ0 per megの一定の値をとることがわかった。浅層においては、約15-20m深に存在する表層混合層の中と、約35-40mに存在する有光総底部付近に高いΔ^<17>Oの存在が認められた。前者は海水混合層におけるガス交換速度より速い光合成活性が存在することを示し、後者はガス交換の起こらない深度での光合成由来の酸素の蓄積を示している。下層において見られたΔ^<17>Oの最大値200per megはこの酸素はほぼ100%光合成で生産されたことを意味している。別途観測された大気-海洋の酸素交換速度を用いて計算すると、この海域の水柱あたりの積算総基礎生産は約190m mol O_2 m^<-2> d^<-1>となり、酸素明暗ビン法(163m mol O_2 m^<-2> d^<-1>)よりわずかに高い値が得られた。 今後この方法が適用される時間スケールを知るための検討を実施する予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Sarma, V.V.S.S., T.Ono, T.Saino: "Increase of total alkalinity due to shoaling of aragonite saturation horizon in the Pacific and Indian Oceans : Influence of anthropogenic carbon inputs"Geophysical Research Letters. 29・20. 32-1-32-4 (2002)
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[Publications] Sarma.V.V.S.S: "An evaluation of physical and biogeochemical processes regulating perennial suboxic conditions in the water column of the Arabian Sea"GLOBAL BIOGEOCHEMICAL CYCLES. VOL16. NO.4. 29-1-29-11 (2002)
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[Publications] Sarma.V.V.S.S: "An evaluation of Physical and biogeochemical processes regulating the oxygen minimum zone in the water column of the Bay of Bengal"GLOBAL BIOGEOCHEMICAL CYCLES. VOL16. NO.4. 46-1-46-10 (2002)