2003 Fiscal Year Annual Research Report
超高速時間分解分光による分子内電子移動系の環境依存発光特性の研究:蛍光分子プローブの開発に向けて
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02F00354
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
濱口 宏夫 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SAHA Satyen 東京大学, 大学院・理学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 超高速分光 / 時間分解蛍光分光 / 近赤外ラマン分光 / 分子内電荷移動 / 4-アミノ-7-ニトロベンズオキサジアゾール誘導体 / 塩化1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム |
Research Abstract |
塩でありながら常温で液体であり、多くのユニークな特性が注目されているイオン液体の構造に関する研究を行った。イオン液体を構成する典型的なカチオンである1-butyl-3-methylimidazolium([bmim])と、ハロゲンアニオンを組み合わせたイオン液体の液体および結晶状態における構造を、ラマン散乱とX線回折により調べた。塩素イオンをアニオンとする[bmim]Clについて結晶多形を発見した。単結晶を作成してX線結晶構造解析を行ったところ、ブチル基のコンホメーションの違いが結晶多形の原因であることがわかった。さらに、ラマン分光により、一般的液体とは異なって、イオン液体では結晶のような部分構造が共存する可能性を示唆する結果を得た。この部分構造の存在を証明するため、さらに異なるアニオンのイオン液体の研究を計画している。 NBD(7-nitro-2,1,3-benzaoxadiazole)の4-アミノ類似体は、溶液の極性の指標であり、生物学でも使用される。NBD類似体のアミノ基と極性溶媒の影響について調べるために、蛍光物質でも測定可能な近赤外ラマン分光を用いた研究を行った。1300cm^<-1>付近の強いバンドのバンド形と位置は極性溶媒に、1540cm^<-1>付近のバンドはアミノ基に敏感であることがわかった。また、四塩化炭素/重アセトニトリル混合溶媒中で重アセトニトリルの濃度を高くすると、1422cm^<-1>のバンドが減少することがわかった。振動バンドの帰属のための類似体の調製と、DFT計算を計画している。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Satyen Saha, Satoshi Hayashi, Akiko Kobayashi, Hiro-o Hamaguchi: "Crystal Structure of 1-Butyl-3-methylimidazoliun Chloride. A Clue to the Elucidation of the Ionic Liquid Structure"Chem.Lett.. 32. 740-741 (2003)