2002 Fiscal Year Annual Research Report
超高速時間分解分光による分子内電子移動系の環境依存発光特性の研究:蛍光分子プローブの開発に向けて
Project/Area Number |
02F00354
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
濱口 宏夫 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SAHA Satyen 東京大学, 大学院・理学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 超高速分光 / 時間分解蛍光分光 / 近赤外ラマン分光 / 分子内電荷移動 / 4-アミノ-7-ニトロベンズオキサジアゾール誘導体 / 塩化1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム |
Research Abstract |
この6ヶ月間で、Sahaはフェムト秒チタン:サファイアレーザーシステムおよびストリークカメラを用いた分光システムの使用法に習熟し、単独で時間分解蛍光分光の実験を開始した。提案した研究計画に沿って、2種類のNBD(4-アミノ-7-ニトロベンズオキサジアゾール誘導体、分子内電荷移動分子)分子の系列について広範に研究を進めている.さらに、Si基板上に吸着したフルオレセインおよびポルフィリンの誘導体についても測定を行い、吸着による蛍光寿命の変化を調べている。光励起時の蛍光プローブ分子の構造変化を調べるうえで、ラマンスペクトルの測定は極めて有用な情報を与える.しかし、試料の発する蛍光の妨害のため、NBD類縁体は固体・溶液状態共に、基底状態のラマンスペクトルすら測定が行われていなかった.そこで、プローブ分子が吸収を持たない波長(1064nm)の励起レーザーを用い、新たに開発された近赤外マルチチャンネル検出器(InP/InGaAsP)によりラマンスペクトルの測定を試みた.実験はNBD分子の固体および重アセトニトリル溶液について行った.興味深いことに、NBD分子の電子供与部位のサイズを変化させるといくつかのラマンバンドのピーク位置がシフトすることがわかった.また最近、イオン液体物質である塩化1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムの単結晶を作製することに成功し、x線結晶構造解析により、この物質の2種類の結晶多形のうちの1つについて正確な構造を得ることができた.この結果は、イオン液体の液体構造解明につながると期待される.
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