2002 Fiscal Year Annual Research Report
新規キラルジホスフィノジイミノカンファーキノン配位子の不斉合成への応用
Project/Area Number |
02F00357
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉藤 正明 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SHRIDHAR GAJARE ANIL 東北大学, 大学院・理学研究科, 外国人特別研究員
|
Keywords | 低配位リン化合物 / 立体保護基 / ジホスフィニデンシクロブテン / パラジウム錯体 / 熊田反応 / フェニルグリニャール試薬 / 触媒反応 / カップリング反応 |
Research Abstract |
C=N結合を有するシッフ塩基は従来からよく知られ、有機合成の中間体としてもよく利用されている。また、金属錯体の配位子としても近年注目され、いくつかの優れた有機合成やポリマー合成の触媒などとして応用が報告されている。一方、立体保護により安定化された低配位リン化合物は、近年、強い関心と興味がもたれている。本研究では、低配位リン原子を2ヶもつジホスフィニデンシクロブテンの2座配位子としての特性に着目し、それらの遷移金属錯体を合成し、嵩高い置換基による化合物の安定化と反応性の制御など、いずれも、分子間や分子内の弱い相互作用を利用して、結果的に大きな違いを生じせしめる可能性のある触媒系に対して検討した。まず、1,2-ジフェニル-3,4-ビス(2,4,6-トリ-t-ブチルフェニルホスフィニデン)シクロブテンを合成し、その酢酸パラジウム(II)錯体を調製し、有機合成反応の触媒としての応用を展開する手始めとして、熊田反応を試みた。N-メチルピロリジノンを溶媒に用いたフェニルグリニャール試薬とクロロベンゼン、および、塩化ベンジルとの反応では、その2%のパラジウム錯体は触媒として極めて効果的にそのカップリング反応を進行させ、ほぼ定量的に、それぞれ、ビフェニルおよびジフェニルメタンを室温、極めて短時間に与えた。今後、多種多様な反応での触媒作用と応用が期待される。また、キラル触媒を合成する目的で、2-ブロモ-1-ブロモメチル-3,5-ジ-t-ブチルベンゼンを合成し、アルコキシ基の導入および、それらを立体保護基としたジホスフィニデンシクロブテンの合成を試みている。
|