2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02F00358
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
笹井 宏明 大阪大学, 産業科学研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MUTHIAH CHINNASAMY 大阪大学, 産業科学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 触媒的不斉合成 / スピロ / イソオキサゾリン / ラクトン / ルイス酸 |
Research Abstract |
我々の研究室で開発したスピロ骨格を有するスピロビスイソオキサゾリン配位子(SPRIXs)は、世界初のアルケニルアルコールを基質とする触媒的不斉Wacker反応を可能にするなど、既存の配位子には見られない際立った特性を有する配位子である。今回、SPRIX配位子の特性を取り入れた触媒的不斉合成の更なる展開を目標に、0価パラジウムを経ない触媒的不斉環化反応によるγ-ラクトンの合成を試みた。同一分子内にルイス酸性の高い2価パラジウムによって活性化を受けるオレフィン部と、アセトキシパラデーションによって生じるアルキルパラジウム中間体を効率的に補足するアリリックアセテート部を有する化合物を基質に選択して反応を検討した。酢酸中、トリフルオロ酢酸パラジウムとSPRIXsから調製される錯体を触媒に用い反応を行ったところ、目的生成物のγ-ラクトンを高い不斉収率で得ることに成功した。本反応では、0価パラジウムを経由することなく直接的に触媒活性種の2価パラジウムが再生することから、パラジウムを用いる触媒反応として反応機構的に興味深いのみならず、空気中の酸素や湿気に対して比較的良好な安定性を有しており、実用性の高い反応となるものと期待できる。また、イソオキサゾリン配位子の特性が明らかになるに従い、イソオキサゾリンと他のホスフィンなどの配位官能基を有する新規配位子の開発へと研究を展開し、合成手法の確立を行った。
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