2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02F00359
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
巽 和行 名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 子ろん 名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 外国人特別研究員
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Keywords | ニッケル / 鉄 / チオラート / 金属酵素 / ヒドロゲナーゼ / カルボニル / シアノ基 |
Research Abstract |
ヒドロゲナーゼには,[Ni-Fe]型酵素と[Fe-only]型酵素とがあり,我々の研究室ではその活性部位構造構築の研究をすでに開始している。特に鉄/ニッケル複核錯体の合成をすすめ,[Ni-Fe]型ヒドロゲナーゼ活性部位の構造に迫ることをめざし,本年度では,まず構成単位となる鉄錯体とニッケルを合成した。また若干の複核化反応を試みた。 具体的には,カルボニルとシアノ基を合わせ持つ鉄錯体,(PPh_4)[Fe(CO)_4(CN)],(PPh_4)[Fe(CO)_3(CN)_2(SR)],(PPh_4)[Fe(CO)_3(CN)_2Br],Na[Fe(CO)_3(CN)_2Br]を合成した。また,ニッケルチオラート錯体として,(PPh_4)_2[Ni(SPh)_4],(NEt_4)_2[Ni(SPh)_4],Li_2[Ni(ndt)_2],Na_2[Ni(ndt)_2](ndt=ノルボルナンジチオラート)の合成にも成功した。これらの鉄錯体とニッケル錯体との反応を検討中である。特に,Na[Fe(CO)_3(CN)_2Br]とLi_2[Ni(ndt)_2]との反応を行い,得られた化合物をPPh_4Brを用いて陽イオン交換することによって目的とする(PPh_4)_2[(CO)_2(CN)_2Fe(μ-ndt)Ni(ndt)]の生成がイオンスプレーマス分析によって確認された。現在結晶化を行っており,構造決定が待たれる。溶液中のイオンスプレーマス分析および固体での蛍光X線マイクロ分析ではほぼ100%純粋な鉄/ニッケル複核錯体が得られているが,溶液中では低温でも徐々に分解するようで,結晶化の最適条件を見い出す必要がある。 本研究は困難な合成・単離技術が要求されるが,研究分担者は実験技術を上達させ,連日夜遅くまで本研究に邁進している。
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