2002 Fiscal Year Annual Research Report
環状エーテル合成のためのコンバージェント方法を用いるローレンシンとプレローレアチンの全合成
Project/Area Number |
02F00363
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山本 嘉則 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PATIL T. Nitin 東北大学, 大学院・理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 中員環エーテル / ローレンシン / 収束的合成 / アリル化 / 閉環メタセシス / ルイス酸 |
Research Abstract |
海洋産の紅藻やそれを食餌とするアメフラシには、陸上では見られない様々な含ハロゲン化合物が含まれている。中でも、ローレンシンに代表される中員環エーテル化合物は、その特異な構造から多くの注目を集め、合成研究が世界中で活発に行われている。本研究では、遷移金属触媒による閉環メタセシスを応用することにより、中員環エーテル類のコンバージェントな合成法の確立を目指す。まず、中員環エーテル合成のための予備実験として、単純な基質を用いて反応を行った。直鎖のカルボン酸と二級アルコールから末端二重結合を有するエステルを合成した。これに対しDIBALHを作用させ、生じたアルミニウムヘミアセタールを無水酢酸とピリジンで処理し、α-アセトキシエーテルを得た。この化合物をルイス酸存存在下、アリルシラン反応させたところ良好な収率で対応するアリル化体を得ることができた。得られたジエンをルテニウム触媒で処理したところ、閉環メタセシス反応が進行し、目的の中員環エーテルを得ることができた。エステル化反応からわずか4段階であり、今回開発した方法論が中員環エーテルの収束的合成法として優れたものであることがわかった。つぎに、ローレンシンの全合成を行うために、不斉炭素を有する基質を用いてアリル化の際の立体選択性について検討した。光学活性なオキサゾリジノンから合成したカルボン酸とアルコールから上記の方法でα-アセトキシエーテルを合成し、アリル化を行った。種々条件検討を行った結果、ルイス酸として四塩化スズを用いると目的の化合物が立体選択的に得られることがわかった。このものの立体化学は閉環メタセシスを行った後、NMR測定を行うことによって決定することができた。
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