2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02F00375
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
辰巳 敬 横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CHE Shunai 横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | メソ多孔物質 / カーボンナノチューブ / 水熱合成 / 自己組織化 / 電子顕微鏡 |
Research Abstract |
細孔径の大きさが、応用上の大きな問題点と考え、細孔径の制御を行った結果幾つかの興味深い実験結果を得ることが出来た。 メソポーラスシリカはTriblock copolymer P123(EO_<20>PO_<70>EO_<20>)を型剤として、Tetraethyl ortho silicate(TEOS)をシリカ源として、塩酸水溶液中で合成した。メソポーラスシリカの細孔径は、有機溶媒trimethylbenzene(TMB)を用いて制御した。メソポーラスカーボンは、Furfuryl alcohol(FA)をカーボン源として合成した。先ず、メソポーラスシリカにSi/Al比が20になるようにAlを担持させて、aluminosilicate酸触媒を作った。次に、これにincipient-wetness法でFAを細孔に導入し80℃で数時間壁の周りのFAを重合させた後、真空に引いて重合されてないFAを取り除いた。FAの重合物を900℃で炭化してから5%HFでシリカの壁を溶解除去して、チューブ状メソポーラスカーボンを得た。 合成されたメソポーラス物質はX-ray diffraction(XRD)、Scanning electron micrograph(SEM)、high-resolution transmission electron microscope(HRTEM)及びN_2吸着-脱着等によって構造解析を行った。 Alを担持したSBA-15と蔗糖で作ったロッド状メソポーラスカーボンに比べて、チューブ状メソポーラスカーボンの10ピークは低いことが分かった。これは、チューブの壁とシリカの壁が取られて出来た空間の回折干渉によって起こる現象であるが、そのチューブの壁が薄いほど干渉は大きいことが分かった。細孔径8.11nmのSBA-15ではチューブの内径は最大5.11nm、カーボンの壁の厚さは最小約1.50nmとなった。 高倍率顕微鏡で、メソポーラスシリカとカーボンの三次元的な細孔分布を、初めて報告することが出来た。 さらに大きいカーボンチューブの細孔径を得るために、先ず、メソポーラスシリカの合成時に添加するTMB有機溶媒の量を変えることによって大きな細孔径を持つシリカを作り、それから種々の細孔径を持つカーボンを作ることが出来た。メソポーラスカーボンの細孔径は4nm〜26.0nmの間で自由に制御することが可能となった。 これらのメソポーラスシリカを型剤として合成した高い比表面積を有し、極めて規則性の高いメソポーラスカーボンは、燃料電池、大きな分子を対象にした触媒、吸着分離剤としての用途、さらにはエレクトロニクス材料など様々な分野での応用が期待できる。
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