2002 Fiscal Year Annual Research Report
非水系プロトン伝導体としての酸―塩基型イオン性液体とイオンゲル
Project/Area Number |
02F00380
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
渡邉 正義 横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SUSAN MD. ABU BIN HASAN 横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | プロトン交換膜 / イオン性液体 / ブレンステッド酸 / プロトン導電率 / 無加湿条件 / 磁場勾配NMR / プロトン伝導性高分子 / 燃料電池 |
Research Abstract |
非水条件下100℃以上の温度域で安定なプロトン伝導性を与える有機材料創製の方法論を確立することは、新しい物質・材料を創出する基礎科学として極めて重要なだけでなく、次世代クリーンエネルギーシステムの創出を強力に推進する。本研究ではイオン性液体に注目し、(1)超強酸と有機アミン類との中和反応から得られるプロトン伝導性イオン性液体の諸特性を評価する。ここから(2)プロトン伝導性高分子膜を合成、特性を検討すると共に、100℃以上で動作可能な非水系燃料電池としての評価を行う。すなわち本研究は、イオン性液体にプロトン伝導性という機能を作り込む化学の開拓と、100℃以上の温度域で動作する中温型燃料電池へ適用可能な非水系電解質材料設計の新しい指針の確立を目的としている。本年度は(1)の研究を展開し、以下に示す成果を得た。 様々な有機アミンと超強プロトン酸との反応によりイオン性液体を得た。特にイミダゾールを塩基とした場合、プロトン伝導性はイミダゾリウムプロトンの拡散に加えてプロトンホッピングに起因することを見出した。これはイミダゾリウム過剰組成において、イミダゾールとプロトン化されたイミダゾリウムとの間で速いプロトン交換が起こりうることを示す結果である。また、白金電極上に水素と酸素をそれぞれフローすることで起電力が得られた。これは非水条件下においてイオン性液体を用いた燃料電池が作動した初の報告例である。さらに、イミダゾール以外の塩基を用いた系でもプロトン伝導性を示す結果が得られた。 以上の結果は、プロトン伝導性イオン性液体を高分子と組み合わせることにより、プロトン伝導膜を得られることを示唆する。さらに、100℃以上の非水条件下で燃料電池を作動させる可能性を秘めているだけでなく、プロトン酸と塩基との組み合わせによってその特性をチューニングできることから、多くの化学分野に適用可能と考えられる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Akihiro Noda: "Bronsted Acid-Base Ionic Liquids as Proton Conducting Non-Aqueous Electrolytes"Journal of Physical Chemistry B. (in press)(Web Release April 4,2003). (2003)
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[Publications] Md.Abu Bin Hasan Susan: "Bronsted Acid-Base Ionic Liquids and Their Use as New Materials for Anhydrous Proton Conductors"Chemical Communication. 2003. 330-331 (2003)