2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02F00382
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
辻 康之 北海道大学, 触媒化学研究センター, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LIU Yun‐kui 北海道大学, 触媒化学研究センター, 外国人特別研究員
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Keywords | カリックスアレーン / 分子触媒 / ロジウム / イリジウム / ヒドロホルミル化反応 |
Research Abstract |
本研究においては,カリックス[6]アレーンの6つの水酸基のうち,1,3,5位をメチル化した生成物を単離した。そして,残った水酸基にメチレン基を一つあるいは二つ介してホスフィン部を結合させることに成功した。得られた有機リン配位子は,水酸基が結合している側(下端)が狭く,その反対側(上端)がより広いというように,その命名の起源であるギリシャ聖杯に似た空孔を全体として有しており,'極めて興味深い配位子である。本研究においては,この配位子の単結晶成長にも成功し,そのX線結晶構造解析を行った。その結果,本配位子は,金属中心に配位するホスフィン部がカリックスアレーン骨格の同じ側に存在する,いわゆるコーン配座構造を有していることが明らかになった。さらに,本反応においては,このホスフィン配位子とロジウムあるいはイリジウム錯体前駆体との錯体化反応も行った。その結果,配位子が3点で金属中心に配位する極めて興味深い構造を有することを明らかにした。これらの錯体の核磁気共鳴スペクトルを測定したところ,錯体はフラクショナルな挙動を示し,錯体が溶液中で極めて柔軟な構造を有していることが示唆された。また,この配位子が有する特異な超分子相互作用を活用した分子触媒反応を開発するために,ヒドロホルミル化反応ならびにヒドロシリル化反応も行った。その結果,このカリックスアレン部位を有する新規遷移金属錯体がこれらの反応において,極めて高い触媒活性を有することを見出した。
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