2002 Fiscal Year Annual Research Report
硝化阻害剤が農地生態系における土壌微生物バイオマスと窒素代謝に及ぼす影響
Project/Area Number |
02F00387
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
犬伏 和之 千葉大学, 園芸学部, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徐 星凱 千葉大学, 園芸学部, 外国人特別研究員
|
Keywords | 亜酸化窒素 / 温室効果ガス / オゾン層破壊 / 硝化過程 / 土壌微生物 / 微生物バイオマス / 阻害剤 / 間接放出 |
Research Abstract |
亜酸化窒素は地球温暖化ガスおよび成層圏オゾン層の破壊原因物質として特にその大気中濃度の上昇が注目されており、その増加の主要な要因として農業における生産性向上のための肥料の施用量増加が指摘されている。また土壌表面からの直接放出過程に加えて、一旦、下層土へ溶脱された亜酸化窒素や無機態窒素が傾斜地などを流下し別の位置で大気へ亜酸化窒素放出される間接放出過程も従来知見が少なく注目されている。本研究では亜酸化窒素の土壌中での生成過程に影響を及ぼす因子として、硝化阻害剤あるいはウレアーゼ阻害剤の生物影響を定量的に明らかにし、亜酸化窒素放出量の有効な削減方法を検討することを目的とした。本年度はその第1年次で、予備試験として、千葉大学園芸学部附属利根高冷地農場の傾斜地林地および果樹園より採取した表土および下層土を用いて培養試験を行い、亜酸化窒素生成量と微生物バイオマス窒素量を定量し両者の関係を明らかにした。その結果、亜酸化窒素生成量は表土や果樹園土壌で多く、微生物バイオマス窒素量と正の相関関係が認められた。さらにその後、阻害剤を施用した土壌を用いて室内モデル実験を行ない定期的に試料を採取し亜酸化窒素ガス生成および消費活性の動的平衡関係を調べ、土壌微生物バイオマス量変化や窒素代謝に関連する酵素活性の動態を解析した。その結果、硝化阻害剤によって亜酸化窒素生成はほぼ停止し、亜酸化窒素生成過程の大部分が独立栄養の硝化細菌によることが明らかになった。また亜酸化窒素生成と同時にエチレン生成も認められ、その生成過程をさらに詳しく解析する必要が見出された。
|