2002 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト老化細胞のクロマチンに結合する低分子ペプチドの同定と機能解析
Project/Area Number |
02F00388
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
鮎沢 大 横浜市立大学, 木原生物学研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ARIVAZHAGAN Palaniyappan 横浜市立大学, 木原生物学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 細胞老化 / 遺伝子 / 核マトリックス / ペプチド / ヒト正常線維芽細胞 / クロマトグラフィー |
Research Abstract |
細胞老化の分子機構の解明はヒト老化の理解の基盤を形成する。その分子機構はまだ渾沌とした状況にある。細胞老化の誘導系を用いて詳細な遺伝子発現機構を解析した結果、細胞老化応答遺伝子の近傍に位置するAT-richな核マトリックス付着領域S/MARの構造変化が細胞老化応答遺伝子の同時的な発現変化に関与することを示唆した。この配列に作用する生体物質としてペプチドを想定している。老化細胞で顕著に蓄積し、酸化ストレスが蓄積を増強するからである。そこで、動物組織または細胞から低分子ペプチドを精製し、ついで、ヒト正常線維芽細胞における細胞老化誘導活性を検定する。有効成分は質量分析機によってアミノ酸配列を決定したい。 本年度には、牛の肝臓をホモジュナイズし、核を調整した。核をよく洗ったのち、酢酸を含む50%メタノールで低分子成分を抽出した。遠心で上精を集め、陰圧下でメタノールを蒸発させ、さらにエバポレーターでサンプルを濃縮した。核酸、たんぱく質、脂質などを定量したが、大半はペプチドであった。脂質は濃縮操作で、沈殿部に移行したと思われる。この粗サンプルが細胞老化誘導活性をもつかどうか検討した。ペプチドを細胞へ移入する方法はいくつか考えられるが、まず血清を含まない培養液に細胞を培養し、サンプルを直接培養液に添加した。その結果、数マイクログラムのサンプルを添加すると、細胞増殖が抑制されることが示された。この現象が細胞老化によりものかどうかの判定にはやや時間を要するので、現在検討中である。細胞老化の誘導が観察されれば、カラムクロマトグラフィーを用いて、有効成分を精製し、構造決定を行う予定である。
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