2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02F00392
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
板橋 豊 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SVETLANA Momchilova 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 魚油 / トリアシルグリセロール / ジアシルグリセロール / 位置異性体 / 高速液体クロマトグラフィー / 光散乱検出器 / 銀イオンクロマトグラフィー / 3,5-ジニトロフェニルウレタン |
Research Abstract |
本研究では銀イオンクロマトグラフィーやキラルクロマトグラフィーなどのクロマトグラフィーの先端技術と質量分析法を組み合わせて魚油成分の分子種構造を光学異性体を含めて精密に分析する方法の確立を目的とし、本年度は以下のことを明らかにした. (1)トリアシルグリセロール(TAG)やリン脂質,糖脂質の基本骨格を形成しているジアシルグリセロール(DAG)の位置異性体(reverse isomer)を銀イオンHPLCで分析する方法を検討した.Chromsher 5 Lipidsカラム(25cm×4.6mm i.d.)とヘキサン/アセトニトリル系の移動相を用いてDAGの3,5-ジニトロフェニルウレタン(DNPU)誘導体を分析した結果,16:0-18:1と18:1-16:0のような不飽和度の低い異性体では,両者は少量(1〜2%)のアセトニトリルを含む移動相で良好に分離されたが,高度不飽和酸を含む異性体(たとえば,16:0/22:6と22:6/16:0)を溶出させるためには5%以上のアセトニトリルが必要であった.しかしながら,高い濃度ではカラムの劣化が著しく,DNPU誘導体は高度不飽和異性体の銀イオンHPLC分析には適さないことが認められたことから,他の誘導体(3,5-ジニトロベンゾエート,アンスリルウレタンなど)の検討が必要であるとの結論が得られた. (2)逆相HPLC分析(Supershere ODS,25cm×4mm i.d.,移動相アセトニトリル/イソプロパノール,光散乱検出器使用)により,トリアシルグリセロールの位置異性体(16:0/16:0/18:1と16:0/18:1/16:0)を部分的に分離することにはじめて成功した.このことは,魚油に含まれる高度不飽和酸を含む位置異性体の分離も可能であることを示唆するもので,今後の発展に繋がる良い結果が得られた.
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