2003 Fiscal Year Annual Research Report
ラン藻における低温誘導性遺伝子のシステマティック変異による機能解析
Project/Area Number |
02F00503
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
村田 紀夫 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SUNDAR Jogadhenu Prakash Syama 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 低温 / シャペロニン / RNAヘリケース / DNAミクロアレイ / ラン藻 |
Research Abstract |
生物は常に環境の変化に曝されてる。環境変化に適応するためには、その環境変化を認識して、適応に必要な多数の遺伝子の発現を制御することが重要となる。ラン藻Synechocystis sp. PCC6803では、低温条件下で、約3000個の染色体上の遺伝子の中で24個の遺伝子の発現が誘導され、46個の遺伝子の発現が抑制されることが分かっている。低温により発現制御を受けた遺伝子の中の小数については低温適応における役割が明らかにされている。しかし、残りの多数の遺伝子については低温適応における役割が不明である。本研究では、低温誘導性が確認された遺伝子の中から、RNAヘリケースをコードするcrhL遺伝子に着目し、この遺伝子産物(CrhL)の低温適応における役割について調べた。まず、crhL変異株を作製した。低温条件下において、変異株は野生株に比べ成長速度が顕著に遅かった。DNAミクロアレイ法やノーザンブロッティング法を用いた実験の結果、10-kDa chaperonin (GroES)と60-kDa chaperonin 1(GroEL-1)をコードするgroESLオペロンと、60-kDa chaperonin 2(GroEL-2)をコードするgroEL2遺伝子のmRNAが、野生株に比べcrhL変異株で低かった。低温条件下において、これらのmRNAの分解速度は野生株と変異株とで違いがなかったので、CrhLがgroESLオペロンやgroEL2遺伝子の低温での発現過程に関与し、低温適応において重要な働きをすることが示唆された。現在、CrhLによるGroESL遺伝子群の低温誘導の分子機構をより詳細に検討中である。
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