2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02F00519
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
児玉 正昭 北里大学, 水産学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LAM Ironside Hoi Yeung 北里大学, 水産学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 麻ひ性貝毒 / Alexandrium tamarense / 毒結合タンパク / 代謝 / メルカプトエタノール / チオール / タンパク分解酵素 |
Research Abstract |
大船渡湾においてAlexandrium tamarenseの発生により毒化したホタテガイ中腸腺より水溶性タンパクおよび膜結合タンパク画分を抽出し、抽出物中の遊離の毒をゲルろ過で除去した後タンパク画分をmercaptoethanolで処理し、処理の前後における遊離の毒をHPLCで分析した。その結果、mercaptoethanol処理によりsaxitoxinおよびneosaxitoxin(STXs)が遊離してくることが判明し、タンパクのシステイン残基のチオール側鎖に麻ひ性貝毒(PSP)が結合していることが考えられた。一方、ゲルろ過で遊離の毒を除いた高分子のタンパク画分には微量のgonyautoxin(GTXs)が検出された。ゲルろ過の原理を考えると、低分子の毒成分がタンパク画分に溶出することは不可能である。この現象は分離操作の過程でタンパクに結合した毒が遊離し、このような毒の遊離に何らかの酵素が関与することを示唆した。そこで同様の操作をタンパク分解酵素の阻害剤の存在下で繰り返したところ、遊離するGTXの量は減少した。このことはタンパクに結合した毒がタンパク分解酵素の作用で遊離することを意味する。そこで有毒ホタテガイ中腸腺より分離した水溶性タンパクおよび膜結合タンパクをタンパク分解酵素で分解したところGTXを主成分とする毒が遊離し、遊離する毒量は膜タンパクのほうが顕著に多かった。この結果は、貝に取り込まれた毒の一部は膜タンパクと結合して存在し、同タンパクの代謝時に遊離することを示すものである。この結果は、毒化貝から毒が減少する過程でしばしば見られる毒量の増加が、毒を結合したタンパクの代謝が原因であることを示唆した。
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