2002 Fiscal Year Annual Research Report
フタル酸ジ-2-エチルヘキシルの毒性メカニズムの解明と、メカニズムを基にしたリスクアセスメント
Project/Area Number |
02F00531
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
那須 民江 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WANG Hailan 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | マウス / ラット / マーモセット / フタル酸ジ(2-エチルヘキシル) / リパーゼ / キネティクス / 種差 / リスク評価 |
Research Abstract |
マウス、ラット、マーモセットの肝、小腸、腎、肺におけるDEHPの代謝に関わる酵素、リパーゼ、UDP-グルクロニルトランスフェラーゼ(UDPGT)、シトクロムP450 4A(CYP4A),アルコール脱水素酵素(ADH),アルデヒド脱水素酵素(ALDH)の活性の種差を、in vitroの代謝実験から検討した。リパーゼの活性は生成するモノ-2-エチルヘキシルフタル酸(MEHP)のシラン誘導体を既設の機器GC-MSで測定することにより評価した。UDPGTは代謝物を既設のHPLCで測定、CYP4Aはwestern blot分析、ADHとALDHの活性はNADHの生成速度から評価した。リパーゼの活性はどの臓器においてもマウス>ラット>マーモセットであり、それぞれの動物間に10倍以上の活性の差がみられた。すなわち、マウスとマーモセットの活性の差は150倍もあった。MEHPに対するUDPGTの活性は非常に低いが認められ、種差がみられたが、そのマウスとマーモセットの差はたった2倍であった。CYP4Aは抗体で発現量を検討した。抗体の親和性の種差を除外すると、ラット>マウス>マーモセットであった。MEHPの代謝物と、リパーゼによる加水分解生成物の2-エチルヘキサノールに対するADHとALDHに関しては、一般にマーモセットあるいはラットの活性が高く、マウスの活性は低かった。しかしこれらの種差は5倍程度の差であった。以上の結果から、各臓器におけるDEHPの代謝の種差を総合的に判定すると、リパーゼの活性の種差が著しく大きく、この活性の種差がDEHPの活性代謝物であるMEHPの内部曝露量に大きな影響を与えることが予想される。通常リスク評価はDEHPの外部曝露量を参考に行われる。しかしこのような代謝の種差が大きい化学物質に関しては、活性代謝物の内部曝露量からリスク評価を行うべきと思われる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 那須民江, 山田哲也, 古橋功一: "内分泌かく乱化学物質の毒性機序とリスク評価"現代医学. 50. 59-69 (2002)
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[Publications] Nakajima T, Ichihara G, Kamijima M, Itohara S, Aoyama T: "Functional activation of peroxisome proliferators-activated receptor α (PPARα) by environmental chemicals in relation to their toxicities"Nagoya J Med Sci. 65. 85-94 (2002)
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[Publications] Nakajima T, Yamanoshita O, Kamijima M, Kishi R, Ichihara G: "Generalized skin reactions in relation to trichioroethylene exposure : a review from the viewpoint of drug-metabolizing enzymes"J Occup Health. 45. (2003)