2002 Fiscal Year Annual Research Report
血管傷害後内膜肥厚ならびに動脈硬化における血管内皮増殖因子の役割の解明
Project/Area Number |
02F00534
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
江頭 健輔 九州大学, 医学部附属病院, 講師
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
趙 慶偉 九州大学, 医学部附属病院, 外国人特別研究員
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Keywords | 血管内皮増殖因子 / 炎症 / 動脈硬化 / 遺伝子治療 / 新生内膜増殖 |
Research Abstract |
生体レベルで血管内皮増殖因子(VEGF)を抑制するために可溶性血管内皮増殖因子受容体(sFlt-1)遺伝子導入を行った。大腿動脈カフ傷害マウスモデルを用いて新生内膜形成におけるVEGFの役割を解析した。 【結果】 1.sFlt-1遺伝子導入によるmatrigel plug内血管新生の阻止:可溶性Flt-1遺伝子あるいは対照遺伝子を大腿筋に導入後、matrigelを皮下に注入した。14日後、VEGFによるmatrigel内血管新生は可溶性Flt-1遺伝子導入によりほぼ完全に抑制された。 2.カフ巻付けによる動脈障害モデルの作製:正常マウス大腿動脈周囲にポリエチレン製カフを巻き付ける外膜傷害による炎症が初期に生じ、内膜肥厚が後期に生じた。マウスsFlt-1遺伝子を組み込んだプラスミド、あるいは対照プラスミドをマウス大腿筋に注射した。遺伝子発現を増強させるために、electroporation法を用いた。 3.カフによる炎症性変化と血管新生内膜増殖:カフ巻き付けの3日後に、早期の血管炎症性変化が生じ、7日後に早期の増殖(単球の浸潤増加PCNA陽性細胞増加)が生じた。21日後に著明な新生内膜肥厚が生じた。 4.カフ巻き付けによるVEGFとVEGF受容体(Flt-1,Flk-1)の発現増加:VEGFとVEGF受容体免疫活性は浸潤した単球、内皮細胞および平滑筋に双色蛍光免疫法で確認した。また、VEGFとVEGF受容体のmRNA発現増加を認めた。VEGFの発現は炎症性変化の推移と一致していた。 5.可溶性Flt-1遺伝子導入による新生内膜形成の抑制:可溶性Flt-1遺伝子導入により単球の浸潤と新生内膜形成の抑制を認めた[intimal area (mm^2):0.51±0.08vs0.28±0.07^*、I/M ratio:2.0±0.41vs0.78±0.20^*,%(luminal stenosis 78±5vs35±9^*,^*p<0.01)]。さらに、可溶性Flt-1遺伝子導入は炎症性因子の発現増加を抑制した(例:IL-β,IL-6,MCP-1,CCR2等)。 【総括】 カフによる血管周囲傷害モデルの新生内膜形成過程においてVEGFが必須の役割を果たすことが明かとなった。来年度は、バルーン傷害後の新生内膜肥厚の分子機構におけるVEGFの役割を明らかにする予定である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Zhao QW, Egashira K, Inoue S, Usui M, Kitamoto K, Ni WH, Ishibashi M, Hiasa K, Ichiki I, Shibuya M, Takeshita A.: "Vascular Endothelial Growth Factor is Necessary in the Development of Arteriosclerosis by Recruiting/Activating Monocytes in a Rat Model of Long-Term Inhibition of Nitric Oxide Synthesis"Circulation. 105. 1110-1115 (2002)