2002 Fiscal Year Annual Research Report
サイクリックGMP関連遺伝子導入による肺高血圧治療
Project/Area Number |
02F00539
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
丸山 一男 三重大学, 医学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
JIANG Bao Hua 三重大学, 医学部, 外国人特別研究員
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Keywords | マウス / 肺高血圧 |
Research Abstract |
本研究では、肺高血圧の治療法として、肺血病変の発生に関与する遺伝子を抑制することや、血管病変の発生を抑制する遺伝子の導入を行い、肺高血圧の発症の原因遺伝子を究明するとともに、治療に応用できる遺伝子を検討する。一例として、cGMPを上昇させる利尿ペプチド(ANP)の肺血管への遺伝子導入を行うことによりcGMP上昇を介し肺高血圧血管病変の発生抑制を試みる。実験動物としてマウスを用いる。本年度は、マウスの肺動脈圧測定法を開発した。従来、肉眼で用手での穿刺は成功率が低いため、専用のシステムを組み立てた。マウスの肺動脈圧は、開胸下、人工呼吸下で行うため、人工呼吸器が必要となり、専用の実体顕微鏡が必要となった。本年度の結果は、ノックアウトマウスやトランスジェニックマウスを用いた肺高血圧研究手法を提供するものとなる。すなわち、生体での肺動脈圧という指標が、小動物であるマウスで測定できることは、今後の研究の基盤となる。一方、ラットでは、経気道的にセンダイウイルスに組み込んだレポーター遺伝子は気管上皮に発現することを確認した。またANP遺伝子発現を肺のPCRで検討したところ、少なくとも30%以上の確率で肺にANP遺伝子が導入できることが判明した。AMPによる肺血管弛緩反応を見てみると、肺高血圧血管ではむしろ正常血管よりよく弛緩反応が認められるので、ANPによるcGMP産生は、NOによるcGMP産生より効率がよい可能性がある。したがって、ANP遺伝子導入によるcGMP産生は有効である可能性がある。次年度は、確実な遺伝子導入法をさらに検討する。
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