2002 Fiscal Year Annual Research Report
脳の硫酸化グリコサミノグリカン:機能と生合成のメカニズムへの構造解析によるアプローチ
Project/Area Number |
02F00543
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Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
菅原 一幸 神戸薬科大学, 薬学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BAO Xingfeng 神戸薬科大学, 薬学部, 外国人特別研究員
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Keywords | コンドロイチン硫酸 / デルマタン硫酸 / グリコサミノグリカン / 中枢神経 / 脳 / 海馬 / 神経突起伸長 |
Research Abstract |
コンドロイチン硫酸(CS)/デルマタン硫酸(DS)は中枢神経系の発生に関与していることが知られている。例えば、損傷を受けた中枢神経系において、酵素消化してCS/DSを除去すると軸索の再生が促進され、in vivoでの軸索伸長阻害活性が報告されている。一方、in vitroにおいて海産生物由来の多硫酸化CS/DSが神経突起伸長促進活性を持つことも報告されている。また、ニワトリ脳のCS鎖は、胚期および成体期でその構成二糖組成が大きく変動する。しかし、実際に脳由来のCS/DSを用いて、神経細胞への作用を調べた研究例は少ない。そこで今回我々は、大量に入手可能なブタ胎仔および成体の脳からCS/DS画分を調製し、それらの構造および神経突起伸長促進活性を比較した。各脳組織を生理食塩水を含むリン酸緩衝液(PBS)でホモジェナイズ後、遠心分離し、PBS可溶性画分とその残渣に分けた。両画分をプロナーゼで消化後、CS/DS鎖を抽出、精製し、それらのコンドロイチナーゼでの消化物をHPLCで分析することによって、各画分の構成二糖組成を決定した。また、胎仔および成体由来のCS/DS画分を固相化したカバースリップ上に、胎生16日マウス胎仔の海馬に由来する神経細胞を播種し、神経突起伸長促進活性を評価した。ブタ胎仔脳由来のCS/DS画分には、成体脳由来のCS/DS画分と比べ、有意に高いデンドライト様の突起の伸長を促進する活性が見られた。また、各CS/DS画分の組成の分析から、高硫酸化二糖の含量はいずれも低いことが判明した。しかし、胎仔と成体では構成二糖組成に差が見られ、胎仔期のCS/DS画分中には比較的多くのDS構造が存在することが特徴的であった。ブタ胎仔脳のCS/DS画分にのみ存在すると予想される、神経突起伸長促進活性に必要な特別な糖鎖配列の同定を現在試みている。
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Research Products
(1 results)