2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02F00548
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
堀内 嵩 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GANLEY Austen R 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | リボゾームRNA遺伝子 / 出芽酵母 / 協調進化 / FOB1遺伝子 / SIR2遺伝子 / 複製と転写の衝突 / 組換えの活性化 |
Research Abstract |
(1)彼自身米国でポストドクとして行っていた研究の延長である。協調進化の問題である多コピー遺伝子の配列が同一である機構を明らかにするために、材料として出芽酵母を用い、リボゾームRNA遺伝子(rDNA)を対象に実験系を開発してきた。同一性に直接関係するリピートの増加と減少の速度の正確な測定法を用いて解析を進めている。 (2)酵母では、約150コピーのrDNAがタンデムに集中して存在する。我々は2コピーのrDNAから150コピーに増幅する系を開発してきた。互いに異なる配列マーカーを標識した2コピーのrDNAから増幅させ、150コピーに達した後、標識した両マーカーの分布を調べることで、増幅の機構の一側面を明らかにできると考えた。つまり2種類のrDNAが厳密に分かれて増幅するか、ある程度の大まかな領域で起こるか、全くランダムに起こるかを知ることが出来る。現在これに取り組んでいる。 (3)生物進化には遺伝子進化が必須であろう。遺伝子進化の機構として、多コピー遺伝子の個々遺伝子への変異誘導が考えられる。一つの可能性としてコピーの増幅中あるいは増幅後における変異誘導が考えられる。我々は、最近酵母rDNAのコピー数が減少すると、(i)rRNA生産量維持のために各rDNAにおける転写の活性化が起こり、(ii)その結果複製と転写の衝突が激しく起こり、(iii)最終的にはその領域の組み換えが活性化されることを見出した。この衝突時に変異誘導が起こる可能性があると考えた。コピー数の減少したrDNAを有する酵母株を用いてその検証に取り組んでいる。 同様のことを大腸菌を用いても行っている。大腸菌では7コピーのrDNAがゲノム上に散在しているが、その転写方向は複製の進行方向と一致している。1〜2コピーに減少し、しかも複製がその転写と衝突するような変異株を用いて、転写と複製の衝突によりrDNAでの変異誘導を、rDNA上の変異による抗生物質抵抗性獲得を指標に検討している。
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