2002 Fiscal Year Annual Research Report
転写因子による膵β細胞の発生の制御とその破錠による糖尿病発症のメカニズムの解明
Project/Area Number |
02F00602
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
清野 進 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
張 彦 千葉大学, 大学院・医学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | 膵β細胞 / 転写因子 / ホメオドメイン / 糖尿病 / 成長障害 / エネルギー代謝 / 中枢神経内分泌機能障害 / 耐糖能障害 |
Research Abstract |
膵β細胞に発現する転写因子は、膵β細胞の発生、分化や膵β細胞の機能維持に重要な役割を果たしている。申請者らが膵β細胞株であるMIN6細胞から新たに同定したホメオドメイン型転写因子(Otx3)は蛋白一次構造や発現パターン、DNA結合能の検討からOtxファミリーに属する新たなホメオドメイン型転写因子であることが明らかになった(J Biol Chem 277,2002)。しかしながらOtx3の詳細な転写調節機能や生体での役割は全く不明である。本研究では、Otx3の膵島の発生、分化における役割と、Otx3の機能異常と糖尿病の関係について明らかにする目的で以下の研究を行った。 (1)マウスOtx3遺伝子を破壊することによりOtx3欠損マウス(KOマウス)を作成した。KOマウスは、一過性の成長障害、摂食異常など中枢神経内分泌機能障害と耐糖能障害などの表現型が認められた。(Miki et al.,Unpublished)。これらの結果からOtx3は視床下部や下垂体において成長やエネルギー代謝に関わる遺伝子の発現を調節すると考えられる。 (2)Otx3遺伝子異常と糖尿病発症の関連を検討するために、ヒトOtx3遺伝子構造を検討した。ヒトOtx3遺伝子は5つのエクソンから構成されることが明らかになった。エクソン/イントロン近傍の遺伝子塩基配列を決定し、日本人のMODY患者の遺伝子解析を行なった所、ヒトOtx3のエクソン内にアミノ酸変異の遺伝子異常が同定され、現在、分子の機能の変化を検討しているところである。 (3)Otx3標的侯補遺伝子群の中から真の標的遺伝子を同定するため、ランダムセレクション法を用いて、Otx3の結合するDNA塩基配列を同定した。また、Otx3の各ドメインの機能解析を行い、転写調節に関与するドメイン、DNAと結合するドメイン、核への移行に関与するドメインがそれぞれ同定された(manuscript in preparation)。 これらの結果からOtx3が糖をはじめとするエネルギー代謝を制御する重要な転写因子であることが明らかにされた。
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