2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02F00603
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
黒田 晴雄 東京理科大学, 総合研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GORELIK Sergey 東京理科大学, 総合研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 同位体分離 / 自由電子レーザー / シリコン / 赤外多光子解離 / 異性体 / 波長可変 / 赤外 / 光化学 |
Research Abstract |
赤外自由電子レーザーは高強度・波長可変という特徴を有する光源である。この特徴を生かした応用のひとつとして同位体分離がある。現在、研究分担者の所属するグループでは平成13年度に作業物質PhSiF_3に自由電子レーザー光を照射することでSi同位体が効率よく分離できることを確認した。 平成14年度は研究分担者が中心となって、平成13年度に発見したSi同位体分離用作業物質PhSiF_3のFELによる解離機構の解明のための実験および同様の赤外多光子解離を利用した異性体の分離に関する研究を行った。 まず、作業物質PhSiF_3のFELによる解離機構の解明においては解析することにより解離生成物をその蒸気圧特性の違いを利用して、液体窒素トラップ等で分離し、四十極質量分析器及びFT-IR分光光度計で分析することにより当初、C-SiF_3結合の解離による反応のみが起こっていると考えていたものが実際にはフェニル基からの水素の脱離反応等も絡んだより複雑なものであることが明らかになった。 また、同様の赤外多光子解離の原理に基づき1,3-及び1,4-Bis(Trifluoromethyl)Benzeneの一方を選択的に多光子解離し、分離する実験に成功した。解離生成物としては気相中にC_2F_6及びC_2F_4が生成されていることが明らかとなった。また、各異性体の解離速度の波長依存性は大きく異なっており、パラ異性体は波長依存性が鈍く、解離速度が低く、メタ異性体は波長依存性が顕著で解離速度は速いという興味深い結果も得られている。これらの結果は各異性体の分子構造の違いやそれに伴う極性の違いなどに起因しているものと想像されるが、これら機構の解析は今後の課題である。 平成15年度はさらに分子の赤外レーザによる異性化反応等の実験を行うとともに、これまでに行ってきた実験から得られた結果を解析することで中赤外レーザによる特有の化学反応の誘起及びその利用の可能性について調べていく計画である。
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