2002 Fiscal Year Annual Research Report
アジア諸言語の心的語彙のためのレンマ・ユニット・モデル
Project/Area Number |
02F00658
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
小田 淳一 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
JOYCE Terry Andrew 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 外国人研究員
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Keywords | 心的語彙 / 漢字二字熟語 / 語彙表象 / プライミング法 / 多数形態素単語 / 形態素群 |
Research Abstract |
1.プライミング法による実験 漢字二字熟語の語彙表象に関連して日本語心的語彙のモデルとして提唱してきたレンマ・ユニット・モデルにおける語の位置的頻度と動詞形態素論との相互作用による影響を検討するために「動詞+補足語」と逆の「補足語+動詞」の熟語,さらに動詞構成要素の頻度を比較するプライミング法の実験を120名を対象に行った.その結果,相互作用が有意であることが確認された.また、漢語と大和言葉の対照を視野に入れて,実験刺激として大和言葉の熟語を使用する実験の準備を行っている. 2.頻度データの作成 過去10年間に漢字二字熟語の語彙に関する心理学研究は増えているが,他の多数形態素単語の語彙表象についての研究は少ない.それらの単語は,日本語の心的語彙を理解するために重要であるので,漢字一字と漢字二字熟語に関する既存の頻度データを補うため,他の多数形態素単語の頻度調査を行って,形態素群(morphological family)の包括的な頻度データを作成する方策を考察した. 3.基本語彙における連想語 今まで行った実験では,熟知度,単語の長さ,造語法などの語彙特性を統制してきたが,連想語に関する妥当なデータがないために,連想語の強さの影響を検討することができなかった.これまでの実験結果はプライムとターゲット間に連想関係があることを示唆しているので,日本語の基本語彙における連想語を調査する方法を準備中である. 4.レンマ・ユニット・モデルの拡張 心的語彙のモデルとしてのレンマ・ユニット・モデルの普遍性を検討するために,他のアジアの言語による構成要素形態素のプライミング法実験を行う可能性を検討している.具体的な対象は,表記法としてベンガリ文字を使用している,インド東北部のマニプリ語(Manipuri)であり,そのためにマニプリ語における形態素論・造語法,またベンガリ文字を学習した. 5.研究報告一覧 ジョイス・テリー,日本語心的語彙における漢字二字熟語-形態素論の視点から-,東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所共同研究プロジェクト「修辞学の情報学的再考」平成14年度第2回研究会,2002年11月17日. Joyce, T., "Frequency and verb-morphology effects for constituents of two-kanji compound words.", The 4th Tsukuba International Conference on Memory (Human Learning and Memory : Advanced in Theory and Applicatlon),11-13 January 2003,Tsukuba, Japan.
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