2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02F00666
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
古賀 登 九州大学, 薬学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZHOU Guangyuan 九州大学, 薬学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | cobalt / mononuclear / single-molecule magnet / irradiation |
Research Abstract |
ヘテロスピン系を用いて単分子磁石を構築するために、私はピリジル基を持ったジアゾ化合物1,2を合成した。金属としては、大きなゼロ磁場分裂パラメータを持つコバルト(II)を選択した。これらジアゾ化合物とCo(II)X_2;X=Cl^-、Br^-、SCN^-、ClO_4^-、NO_3^-をそれぞれ4:1の比率で混ぜ合わせ、それらを極低温中のSQUID磁化率測定装置を用いて、その剛体溶液中の光照射前後の磁気的挙動について検討した。 光照射後に得られた直流、交流磁化率の挙動は、アニオンの種類に大きく依存した。Cl^-、Br^-、SCN^-を用いた錯体では溶液中八面体構造を示し、また単分子磁石の性質を示した。一方、ClO_4^-、NO^-_3については弱い単分子磁石の性質を示した。一例として、1とCoCl_2の6水和物を用いた4:1の系では、約2000Gの保持力を示す磁化の履歴現象を2Kで確認し、更に交流磁化率のχ"が周波数に依存していた。この結果をアレニウス式に基づいて最適化を行ったところ、energy barrier72K、average relaxation 6.8×10^<-10>を示す単分子磁石であった。 以上のように我々は、分子中に金属を一つしか持たない単核単分子磁石をヘテロスピン系を用いて構築した。この単核単分子磁石は世界で初めての例であり、非常に意義深いと考えている。今後、大きなenergy barrierを持つ単分子磁石構築に向けて検討を行っている。
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