2002 Fiscal Year Annual Research Report
微小管内流動場で流体内に形成される壁面近傍での超構造とトムズ効果
Project/Area Number |
02F00669
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
平井 利博 信州大学, 繊維学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MOHAMMED HAMIDUL ISLAM 信州大学, 繊維学部, 外国人特別研究員
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Keywords | ゲルチューブ / 人工血管 / 高分子電解質 / 粒子排除層 / ゼータ電位 / レイノルズ数 / スリップ速度 / スリップ長 |
Research Abstract |
高度に膨潤したゲル表面での流動現象は血流などの生理現象における界面現象を理解する上で、有効な知見を与えると考えられる。多くの場合、流動現象は高速の流動下で観察されることがほとんどである。本研究は、低速での流動における界面近傍の観察を行ったもので、血流などにおいても、滞留が起きることが知られており、その場合の、界面流動を検討することに対応する。本研究はこの視点からデザインされたものであり、細管状の柔軟ゲルチューブに球状微粒子をプローブとして流し、以下のような新たな知見を得た。 (1)界面のスリップ現象を詳細に検証した。ゲルチューブでは一般にスリップ環象が見られ、高分子電解質を表面に持つゲルチューブの場合、低レイノルズ数領域でスリップ長が減少し、その後、極小値を経て斬増し一定値に達する。この極低いレイノルズ値での現象は新規な発見で、これがゲル界面における構造形成と対応することを明らかにした。 (2)ゲル界面の溶媒流において、界面からプローブ粒子の存在を排除する層の存在を見いだした。この層を、詳細に観察した結果、レイノルズ数の増加にともない、層の厚さが顕著な依存性を持ち、極低流速の条件下で大きな値を示したものが、急速に減少し、極小値を示した後に一定に漸近していく様子を見いだした。この傾向は、化学的に表面修飾された界面でのみ観察されたことから、ゲル表面の高分子電解質による修飾の結果、ゼータ電位が増加したのみならず、その界面構造が流速によって極めて大きな影響を受ける脆弱な構造を持つことを見いだした。また、こうした構造の生成機構の考察から、粒子排除層のレイノルズ数への依存性を説明できることを明らかにした。
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