2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02F00675
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
板倉 文忠 名古屋大学, 工学研究科, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HUY TRAN DAT 名古屋大学, 工学研究科, 外国人特別研究員
|
Keywords | 後方散乱 / 境界要素法 / HRTF |
Research Abstract |
物体が薄膜でつつまれた楕円体でモデル化される場合を中心にして,音波の物体による散乱現象,特に後方散乱現象(back scattering)の解析手法を検討し,その厳密解の計算を行った。計算法は一部確率的な手法を取り入れた極めて独自な方法である。さらに,当該解析結果を人間の頭部における音波の回折・散乱の計算に応用するための基礎的な検討を行った。 人間頭部における音波の散乱現象の厳密なモデル化を行うことで,精密な頭部音響伝達特性(Head Related Transfer Function : HRTF)の生成が可能となる。HRTFを用いて仮想的な空間音響呈示を行うシステムでは,通常多くの計測点においてHRTFを計測・蓄積する必要があるが,人間頭部における音波の詳細な解析手法を確立することで,簡便かつ高性能な空間音響呈示システムを実現することが可能となる。 現在のところ,境界面として人間頭部特に耳介周辺のような,複雑な形状を下境界面における反射・散乱の計算に関する正当性は確認されていない。そこで今後は,頭部と胸部を複数の楕円対を用いてモデル化・解析した結果と,実際に測定されたHRTFとの誤差を解析することで,HRTFの詳細な計算モデルを構築していく。
|