2002 Fiscal Year Annual Research Report
植物の塩および酸化ストレスに関与する膜輸送系の分子解析
Project/Area Number |
02F00677
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
魚住 信之 名古屋大学, 生物分子応答研究センター, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WIDYASTUTI Sri 名古屋大学, 生物分子応答研究センター, 外国人特別研究員
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Keywords | イオンチャネル / カリウム / 輸送体 / KAT1 / AKT2 / シロイヌナズナ / 原形質膜 / 酵母 |
Research Abstract |
植物の細胞内の主要イオンであるK^+の吸収は、植物の成長や恒常性維持に必要である。また、塩害は植物の細胞内外のイオンバランスが崩れることに起因しており、Na^+の侵入を細胞内主要イオンのK^+が防いでいる。植物シロイナズナのK^+チャネルのKAT1とAKT2の両者はともに6回の膜貫通構造を有しており、その膜貫通構造を形成する領域のアミノ酸配列はよく似ている。しかし、KAT1はK^+を内向きに(取り込む方向)のみ透過する輸送体であるが、AKT2はK^+を内と外の両向きに透過する輸送体である。さらにKAT1とAKT2の植物における細胞内局在性が分かっていない。K^+チャネルの輸送活性の有無はK^+低濃度培地におけるK^+輪送系の変異をもつ酵母に遺伝子を導入し成育の有無で判別することができる。この酵母の変異体を用いた機能発現では、KAT1は原形質膜に発現してK^+輸送能をもつが、AKT2は原形質膜に発現していない可能性があり、K^+輸送能を酵母では示さない。本研究では、KAT1とAKT2のキメラ蛋白質を構築することで、酵母発現系を用いて原形質膜へのキメラ蛋白質の移行に必要な領域をKAT1のK^+輸送活性を指標に調べることとした。KAT1とAKT2の両者はC末領域に細胞質可溶性領域として約300アミノ酸のペプチド鎖を保持する。本領域をKAT1とAKT2のそれと入れ換えたところK^+輸送活性に影響はなかった。この結果、KAT1とAKT2の両者のC末領域は膜移行シグナルとして機能していないことが明らかとなった。
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