2003 Fiscal Year Annual Research Report
人工骨ハイドロキシアパタイト/ポリウレタン新複合材料の開発
Project/Area Number |
02F00735
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
金谷 利治 京都大学, 化学研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LAKSHMI Sharma 京都大学, 化学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | PHB / 結晶化 / せん断流動 / 繊維構造 / 光学顕微鏡 / 偏光解消光散乱 / 小角X線散乱 / 多段パルスせん断流動 |
Research Abstract |
ポリ-3-ヒドロキシブチレート(PHB)は生分解性であり,環境に優しい次世代高分子材料として注目を集めている.しかし,その物性に改良すべき点が多く,その改良がPHBの実材料としての鍵であると考えられている.改良すべき点の一つとして,PHBの繊維化の問題があり,低温延伸等種々の方法が試みられている.一般に合成高分子から繊維を作成する場合,伸長流動等の流れの場で加工され,繊維構造特有のシシカバブ構造が表れる.そこで,本研究では,PHB繊維化の基礎的知見を得るために,せん断流下におけるPHBの結晶化過程を光学顕微鏡,偏光解消光散乱,小角X線散乱を用いて調べ,シシカバブ構造形成に対する影響を検討した. 市販のPHBは分子量が数万であるが,それらをせん断流動の場で結晶化させたが,いわゆるシシカバブ構造は生成しなかった.そこで,2つの改良を試みた.1つは超高分子量PHBを添加することであり,もう一つはせん断流動をパルス的に何回か印可する方法である.はじめの方法では,1-3%程度の超こう分子量成分を加えるだけで,せん断流動下で明らかにシシカバブ構造が生成するのが観察され,超高分子量成分がシシ生成に大きな役割を果たしていることが明らかになった.2つ目の方法は,非常に有効であり,この方法により始めて市販のPHBにおいてシシカバブ構造の生成が確認された.現時点ではPHB実用化の技術までは到達していないが,これらの方法を用いた改良によりPHBの繊維化の道が開けるものと期待される.
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