2002 Fiscal Year Annual Research Report
養殖トラフグの「やせ病」原因粘液胞子虫に超寄生する微胞子虫に関する研究
Project/Area Number |
02F00736
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小川 和夫 東京大学, 大学院・農学生命科学研究所, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
FREEMAN Mark Andrew 東京大学, 大学院・農学生命科学研究所, 外国人特別研究員
|
Keywords | 微胞子虫 / 粘液胞子虫 / トラフグ / やせ病 / 寄生虫 / 遺伝子解析 |
Research Abstract |
養殖トラフグの「やせ病」病魚腸管からは数種の粘液胞子虫およびそれらに超寄生する微胞子虫が発見されている。これら寄生虫の複雑な相互作用について分子レベルで解析するため、まず、関連する複数種の粘液胞子虫および微胞子虫の遺伝子をシーケンスし、比較となる塩基配列情報を蓄積することを目的とした。養殖ブリの脳(特に第四脳室)に寄生して粘液胞子虫性側湾症の原因となる粘液胞子虫Myxobolus buriと、近年、養殖サバの上湾症原因体として発見された粘液胞子虫Myxobolus sp.を材料として、それらの胞子を精製しDNAを抽出した後、SSrRNA(小サブユニット・リボソーマルRNA)をコードする遺伝子をシーケンスした。その結果、1729bpのDNAが得られ、ブリ由来M.buriとサバ由来株の塩基配列は完全に一致した。両者は胞子の形態学的特徴も似ていることから、サバのMyxobolusはM.buriと同一種であると考えられた。また、M.buriの遺伝子情報を他の粘液胞子虫と比較したところ、海産種よりもむしろ淡水産のMyxobolusと高い相同性を示した。次に、日本各地で漁獲されるアンコウの神経系に寄生しキセノマを形成する微胞子虫についてSSrRNA遺伝子をシーケンスした結果、1250bpの塩基配列が決定され、石川株と山形株は完全に一致した。欧米で報告されている近縁種との比較では、若干の地理的変異があるものの、Spraquea lophii、およびGlugea americanusとして報告されている微胞子虫とほぼ一致した。また、ムツの体側筋肉に寄生する微胞子虫についてもSSrRNA遺伝子をシーケンスした結果、約800bpの塩基配列が決定され、Pleistophora属微胞子虫に近縁であることがわかった。
|