2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02F00741
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 修 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ROBVIEUX Fabrice 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | アリル化反応 / イミン / アリルトリクロロシラン / ホモアリルアミン / 中性配位型有機触媒 / ジアステレオ選択的反応 |
Research Abstract |
本研究では、未開拓なアリルトリクロロシランによるイミンのアリル化反応の開発を検討した。 有機化学において、新規な炭素-炭素結合形成反応の開発は重要な課題の一つである。炭素-炭素結合形成反応の中でも、アルデヒドやイミンのアリル化反応は、それぞれ利用価値の高いホモアリルアルコールやホモアリルアミンを与える重要な合成反応である。しかし、アルデヒドに比べ、イミンのアリル化反応の研究は遅れている。一方、様々なアリル化剤の中でも、アリルシランは毒性が低い、ケイ素副生物の処理が容易である、といった理由からしばしば好んで用いられている。しかし、アリルシランは一般に反応性が低いため、新電子剤をルイス酸により活性化する手法や、アリルシランをフッ化物イオンやアルコキシドイオンなどのルイス塩基で活性化する手法が取られている。 これらを背景に、当研究室ではイミン類のアリルシランによるアリル化反応を検討してきた結果、これまでにN, N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ヘキサメチルホスホラミド(HMPA)、スルホキシドなどの電荷的に中性な有機分子[中性配位型有機触媒(Neutral Coordinate-Organocatalyst、NCO)と定義]がアリルトリクロロシランを効果的に活性化し、イミン等価体であるN-アシルヒドラゾンのアリル化反応が高立体選択的に進行することを見い出している。しかし、本反応では、N-アシルヒドラゾンがイミン等価体として良好な反応性を示す一方で、一般的なイミンが反応性を示さないという問題が残されていた。 そこで、本研究においてこの課題に取り組んだ結果、N-アシルヒドラゾンの構造との類推から、o-アミノフェノール由来のイミンが良好な反応性を示すことを見い出し、アリルトリクロロシランによるイミンのアリル化反応を初めて達成することができた。この反応では、NCOの添加が必須であること、イミン窒素近傍の水酸基(誘導基)の存在が重要であること、芳香族アルデヒド、α,β-不飽和アルデヒド、脂肪族アルデヒド由来のイミンが良好に反応すること、クロチルトリクロロシランとの反応においては高い立体特異性が得られること、生成物のo-ヒドロキシフェニル基は脱保護でき、対応する1級ホモアリルアミンへと誘導できることを明らかにすることができた。ここで得られた知見は、今後の新反応開発において有用な指針を与えるものである。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Sugiura, M., Robvieux, F., Kobayashi, S.: "The First Allylation of Imines with Allyltrichlorosilanes Using Neutral Coordinate-Organocatalysts"Synlett. 11号. 1749-1751 (2003)