2003 Fiscal Year Annual Research Report
幼若ホルモンで発現される遺伝子の分子生物学、特にオオシロアリの兵隊分化と関連させて
Project/Area Number |
02F00742
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松本 忠夫 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CORNETTE Richard 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 外国人特別研究員
|
Keywords | オオシロアリ / 幼若ホルモン / ディフェレンシャルディスプレイ法 / P450 |
Research Abstract |
本研究では、屋久島産のオオシロアリを用いて、兵蟻分化を幼若ホルモン類似体(JHA)で誘導し、その際の遺伝子発現をディフェレンシャルディスプレイ法(DD法)で解析した。擬職蟻から前兵蟻への文化は、70%の効率で誘導する事に成功した。また、DD法でJHA処理直後(1h)から一週間の間に特異的発現を調べ、総ての転写物のわずか1%以下に相当するものであった。その中には24時間から3日間に抑制される遺伝子は最も多かった。得られた特異的なcDNAをシークエンシングし、P450と配列相同性を示す遺伝子の場合だけはノーザンブロットで発現パターンを確認できた。新しいSubfamilyのメンバーであり、CYP6AM1と名付けられた。CYP6AM1の発現は腹部に局在し、4齢幼虫から擬職蟻まであり、JHA誘導24時間後に消え,また兵蟻に現れる。生殖カーストでは発現しない。したがって、CYP6AM1は幼若ホルモンに抑制される生理的に重要な酵素であると示唆される。In situ HybridizationでCYP6AM1の発現の局在は調べつつあり、その結果を論文にする予定である。 なお本年度は、6月27日-7月4日にパリ(フランス)で開催された『Aphid Genomic International Network』シンポジウムに出席した。8月1日-8月4日に福岡で開催された『日本進化学会第5回大会』へ出席・発表を行った。発表テーマは「オオシロアリの兵隊分化に伴う形態形成と遺伝子発現の分析」である。
|
Research Products
(1 results)
-
[Publications] CORNETTE, R.: "Molecular characterization of a male-specific glycosyl hydrolase, Lma-p72, secreted on to the abdominal surface of the Madeira cockroach Leucophaea maderae (Blaberidae, Oxyhaloinae)."BIOCHEMICAL JOURNAL. 372. 535-541 (2003)