2003 Fiscal Year Annual Research Report
多次元の逆問題における解の情報抽出のための新しい方法
Project/Area Number |
02F00757
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
池畠 優 群馬大学, 工学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SILTANEN M. S. 群馬大学, 工学部, 外国人特別研究員
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Keywords | コーシー問題 / 定常シュレーディンガー方程式 / 逆問題 / Dirichlet-to-Neumann / 電気インピーダンストモグラフィ |
Research Abstract |
(1)定常シュレーディンガー方程式に対するコーシー問題。この研究の目的は、池畠の提出した定常シュレーディンガー方程式に対するコーシー問題の解の表示公式を基礎にした、解の近似的計算のためのアルゴリズムの理論的考察および数値的検証である。そのアルゴリズムの数値的検証のため、基礎となるFaddeevのGreen関数の数値計算の詳細な理論的検討を行った。それをもとに、アルゴリズムに必要な特別なソース項を持つ定常シュレーディンガー方程式の解を数値計算する方法を提出した。そして適切なパラメタが選択されれば、もともとの定常シュレーディンガー方程式に対するコーシー問題の解が、ある程度の精度で、安定に得られることがわかった。また、そのアルゴリズムの心電図への応用を行った。これらの結果をまとめた論文は、すでに、国際誌SIAM J.Appl.Math.に掲載決定されてる。 (2)電気インピーダンストモグラフィにかかわる逆問題。池畠は、彼自身の提出した囲い込み法の一般化として、Mittag-Lefflerの関数を基礎におく、物体内の未知の介在物についての位置と形状の情報をDirichlet-to-Neumann写像から抽出する方法をすでに提出している。この方法を基礎にした、電気インピーダンストモグラフィにおける新しいアルゴリズムを考案し、その数値実験をとおして有効性と限界をみきわめるのが目的である。そのため、データの数を無限から有限に落としたとき、池畠の方法をどう修正したらよいか、また、データに誤差があったらどうしたらよいかなどの点について、理論的に考察した。そしてそれらの知見にもとづいて、きわめて単純な、電気インピーダンストモグラフィにおける新しいアルゴリズムを提出した。特に、いくつかの基本的な場合について、数値実験を行い、介在物の連結成分の数という重要な情報がよく再現できるということを確認している。その理論的考察と数値的検証を含んだ論文を、国際誌Inverse Problemsへ投稿中である。 今後の研究として、次の二つを考えている。一つはVekua変換をとおして、Mittag-Lefflerの関数を変形Helmholtz方程式が支配方程式である、音波の物体による散乱の逆間題へ(2)のアイデアを適用すること。もう一つは(2)のアルゴリムを実測データを使って検証すること。すでにデータの提供先を見つけ研究交流が始まりつつある。
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