2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02F00764
|
Research Institution | The High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
鈴木 健訓 高エネルギー加速器研究機構, 大強度陽子加速器計画推進部, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DJOURELOV Nikolai 高エネルギー加速器研究機構, 大強度陽子加速器計画推進部, 外国人特別研究員
|
Keywords | 陽電子消滅 / ポジトロニウム / 高分子表面 / ポリプロビレン / 超高分子量ポリエチレン / イオン照射 |
Research Abstract |
陽電子消滅法の手法の中で陽電子寿命測定法(PALS)は、金属の欠陥や高分子の空隙の大きさを定量的に推定する上で、重要な手法である。また、陽電子消滅の過程で、材料の化学的性質が消滅の基礎過程に大きな影響を与え、PALSはこれらの影響を測定することが可能である。この解析手法をポリプロピレン高分子(PP)に応用した。PPは酸化に弱いことが知られており、市販の材料には酸化防止剤が添加されている。防止剤はポジトロニウム(Ps)生成を抑制し、酸化剤のあるPPと無いPPとでは、Ps強度に大きな変化が見られた。また、2台の半導体検出器を用いた同時計測法では、酸化剤が無い試料では酸素の影響が強くなり、Ps生成に影響を与えているのは、酸素を取り込んだカルボニル基の生成であると考えられる。次に、低速陽電子ビームを用いると表面や薄膜中に存在する高分子空隙を測定することが出来るので、半導体技術に欠かせない半導体表面の被膜特性を測定することが可能である。さらに、短パルス化されたビームを用いると、PALSの測定ができ、応用が広がる。高分子材料表面の高分子バルク硬化物の自由体積は、普通の方法では測定することが不可能である。本グループが開発した短パルス化ビームを用いて、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)に炭素イオンを30keVで照射した試料の表面について研究した照射粒子数は5E+14、5E+15、5E+16/cm^2、である。これらの成果は、論文にまとめ雑誌に投稿中である。
|