2004 Fiscal Year Annual Research Report
微生物を用いて、エピタキシャルに天然高分子を階層的に堆積させる三次元材料構築法の開発
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02F00771
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
近藤 哲男 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ROUBROEKS Johannes Peter 九州大学, 大学院・農学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | セルロース / キシラン / 酢酸菌 / 三次元材料 / 階層構造 / ナノマシン / バイオミミック |
Research Abstract |
本研究は、高結晶性セルロースナノ繊維(食物のナタデココ)を生産することで知られる酢酸菌を用い、その生産方向を制御して、自動的に生産繊維の堆積をも制御する三次元材料構築法を検討することである。この方法において、キーとなる現象は、酢酸菌がセルロースナノ繊維を生産するという"ナノマシン"の側面に加えて、生産の際の噴出力により"菌自体が走行する"ことである。この走行方向を、独特のテンプレートを作製して制御することにより、酢酸菌に"ナノビルダー"の側面を追加させるのが狙いである。 検討したテンプレートは、樹木の構成成分であるセルロースとキシランとの水系ブレンドゲルを用いて、それを一軸方向に延伸・配向させたフィルムである。これは、同時に樹木の一次細胞壁を模倣したものとみなすことができる。したがって、このテンプレート上で、酢酸菌を培養し、分泌されるセルロースナノ繊維の堆積方向を制御することは、一次壁からの細胞壁階層構造形成をバイオミミックすることにもつながる。以上のようなコンセプトから、新規材料創製とバイオミミックにつながる基礎研究の両方の側面をもつ当該研究をおこなった。 その結果、セルロースとキシランの強固な相互作用が両成分のブレンド比によって著しく変化すること、強固な相互作用を有していてもブレンド状態で2倍までの延伸が可能で配向フィルム調製ができることが判明した。現在、セルロースとキシランにおいて天然の細胞壁組成比での相互作用を詳細に検討している。このテンプレート上で、酢酸菌の繊維分泌に伴う走行挙動をタイムラプス顕微鏡で観察した。酢酸菌は、基本的に配向方向に進むが、セルロースのみからなるテンプレート上でみられる単純が直線走行ではなく、波打つなどの全くことなる走行パターンを示すことが明らかとなった。すなわち、堆積繊維により構築される3次元構造もユニークなものとなっていると推定された。
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