2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02F00778
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
及川 武久 筑波大学, 生物科学系, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LIU Jianjun 筑波大学, 生物科学系, 外国人特別研究員
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Keywords | 炭素循環 / 草原 / 生態系 / 地下部 / バイオマス / 生産量 |
Research Abstract |
温帯域の草原では,一般にC3植物とC4植物が混生しているが、植物の地下部が複雑に絡み合っているために,地下部の生産量とバイオマスの季節変化の測定は,地上部の生産量などの測定に比較すると,はかるに困難であった。これまでの研究(田中,1998;横山,2001;井桝,2002)によって,混生草原におけるC3植物とC4植物のバイオマスやLAIの相対的な増減が気温と強い相関があり,C3植物とC4植物の季節的な逆転時期の気象相関要素は初夏の温度と降雨量であることが明らかになっている。しかし,地下部の季節動態はどのような変化があるかは明らかではなかった。本研究は筑波大学の陸域環境研究センターの実験草原を対象として,季節によってC3植物とC4植物の地下部の生産量とバイオマスがどのように変化するかを明らかにすることを目的とする。 本研究は平成14年度(10月以後)に次の研究と準備をした。 1.160個ルートイングロースコア(root in growth core)の設置完了 地上部と地下部の成長を同時に測定するために,陸域環境研究センター円形圃場(直径160m)内の南北東西の2方向に設置した80個の永久コドラート中に160個ルートイングロースコアを設置した。15年の5月から16年3月まで2ヶ月ごとに1回(30個)ルートイングロースコアを回収し,このコア中に伸びた根の量を測り,地下部の生産量を求める。 2.100個ルートリターバッグ(root litter bag)の設置完了 C3植物の優勢区とC4植物の優勢区に各50個(計100個)ルートリターバッグを設置。15年の5月から16年3月まで2ヶ月ごとに1回(10個)ルートリターバッグを回収し,その内の分解されずに残った根量を調査する。 3.冬期のC3植物とC4植物の地下部のバイオマスの実態と土壌層位の分布様式の測定。 実験草原において、C3植物が優勢である実験区とC4植物が優勢な実験区で、30組の土壌サンプル(地表面から10cm間隔で50cmまで)を採取した、冬期の草原の地下部のバイオマスと土壌層位の配分様式を明らかにした。C3植物が優勢な実験区に生きている地下部のバイオマス平均は1290.4gd.w.m^<-2>で、枯死した地下部のバイオマスは686.1gd.w.m^<-2>で、合計は1976.6gd.w.m^<-2>となった。土壌層位の分布様式は土壌の深層に向かうにしたがって指数関数的に減少することが知られている。地表面から30cmまで土壌層位のバイオマスは全地下部バイオマスの87.6%を占める;C4植物が優勢な実験区に平均の生きている地下部のバイオマスは1857.1gd.w.m^<-2>で、枯死した地下部バイオマスは718.7gd.w.m^<-2>で、合計は2569.8gd.w.m^<-2>となった。土壌層位の分布様式はやはり土壌の深層に向かうにしたがって指数関数的に減少する。地表面から深さ30cmまでのバイオマスは全地下部バイオマスに対する割合は90%以上であった。
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