2002 Fiscal Year Annual Research Report
効率的分子間架橋反応の開発によるベシクル集合体からのフラーレン高分子合成
Project/Area Number |
02F00796
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 栄一 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LEMIEGRE Loic 東京大学, 大学院・理学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | フラーレン / 高分子 / 架橋反応 |
Research Abstract |
フラーレンを含んだ高分子は光材料,電子材料や医薬材料などさまざまな分野での応用が期待されているが,精密有機化学的手法を用い分子構造,分子量分布,サイズを制御する試みはなされていない.Lemiegre氏の研究はフラーレン分子集合体上での分子間架橋反応によるフラーレン高分子の合成を行うことを目的とする。最近受入研究者らは,フラーレンシクロペンタジエニド(FCp)が分子二重膜からなるベシクル集合体を形成することを見いだしている.このベシクル集合体は非常に狭いサイズ分布で調製できることから分子間架橋反応によりサイズ,形状,分子量分布の整ったフラーレン高分子の設計・合成が可能となると期待される.フラーレンベシクル集合体は[60]フラーレンからほぼ定量的に調製可能であり,将来の大量供給への道も拓けていることから,本研究でのフラーレン高分子合成は多くの境界領域分野への応用が期待される.Lemiegre氏の研究はまず,架橋可能な部位をもつFCpの合成を検討した.架橋反応としてオレフィンのメタセシスが可能となるFCp誘導体の合成を検討し,1分子上に5つの架橋可能なオレフィンを有する誘導体の合成に成功した.フラーレン部位と架橋部位の間の連結部の構造についても検討し,種々の連結部をもつ誘導体を合成した.現在,分子力場計算によるさらなる分子設計の検討を進めるとともに、架橋反応の検討を進めている.
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