2003 Fiscal Year Annual Research Report
効率的分子間架橋反応の開発によるベシクル集合体からのフラーレン高分子合成
Project/Area Number |
02F00796
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 栄一 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LEMIEGRE Loic 東京大学, 大学院・理学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | フラーレン / 高分子 / 架橋反応 / アミノ化 |
Research Abstract |
フラーレンを含んだ高分子は光材料,電子材料や医薬材料などさまざまな分野での応用が期待されている.しかし,フラーレン高分子は分子構造を制御した合成が困難であり,これまでの高分子はいずれも種々の構造異性体の混合物であった.本研究では,精密有機合成手法を用い,分子構造・分子量分布・サイズを制御したフラーレン高分子の合成を目標とした.本研究では予めフラーレン分子集合体を形成し,その置換基上での分子間架橋反応を行うことで,明確な分子構造をもつフラーレン高分子の合成を行うこととした.本研究では受入研究者らが見いだした両親媒牲フラーレンの分子集合体を前駆体として,架橋反応を行う.Lemiegre氏は昨年度までに架橋部位をもつ両親媒性フラーレンの合成およびその分子集合体の形成に成功している.本年度は,その架橋反応を試み,高分子合成の検討を行った.この検討では,架橋反応が進行したことが確認され,本研究の目指した合成手法の優位性を確認した.さらに本年度は,合成した高分子の構造解析を進めるとともに,分子集合体形成における基本単位となる新しい両親媒牲フラーレンの基礎骨格構築法についての検討を行った.この両親媒性フラーレンの合成法の検討では,フラーレンと第二アミンとの4重付加反応について着目した検討を進め,新しい高効率合成法の開発に成功した.この反応により,酸化条件下での反応により1ポットで4つの極性官能基をもつ両親媒性フラーレンの合成を行うことができ,架橋部位を有する誘導体をふくめ,種々の両親媒性フラーレンの合成に成功した.
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