2003 Fiscal Year Annual Research Report
大気・海洋の境界層と渦のスピン・アップ、スピン・ダウン過程に関する実験的研究
Project/Area Number |
02F00803
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
新野 宏 東京大学, 海洋研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MOULIN FREDERIC YANN 東京大学, 海洋研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 回転流体 / 境界層 / 差分回転 / 粗度要素 / 地形効果 / 慣性波 / 地衡流 |
Research Abstract |
現実的な大気や海洋の境界層は、複雑な地形の力学的・熱的影響を強く受けている。本研究では、このうち力学的効果に絞って、複雑な地形上の境界層の構造とこれが内部領域に励起する運動を室内実験により調べた。 実験は0.25〜1.0rad/sで回転する回転台上に搭載した半径38cm、深さ11.5cmの円筒水槽を用いた。円筒水槽の底面には直径1cm、高さ1cm程度の粗度要素を3cm間隔に格子状に配列し、上蓋を0.03〜0.33rad/sで差分回転させて定常な順圧地衡流を作り出した。流れの可視化には、蛍光塗料と電気分解法を用いた。また、流速場の測定にはPIVを用いた。この際、PIVを回転台上に搭載して、回転系に相対的な速度場だけを測定する必要があるが、これには、PIV装置一式とノートパソコンを回転上に載せ、無線LANで静止系のパソコンにデータを飛ばす方式を工夫して可能にした。 実験の結果、粗度要素は差分回転に応じて、慣性波を励起する場合があり、この慣性波が内部領域のスピンアップや組織構造の形成に大きな影響を与えることがわかった。特に、あるパラメータ範囲では、内部流体に半径の異なるドーナツ状の構造が数個形成されることがわかった。現在、PIVの結果をもとにして、このような構造の形成機構を検討中である。 以上の成果は、2003年7月に札幌で行われた第23回IUGG総会の回転成層流体のセッション(JSP10)及び2003年11月にアメリカ・New Jerseyで行われたアメリカ物理学会の、回転流体のセッション(FP)で口頭発表(http://www.eps.org/aps/meet/DFD03/baps/abs/S650007.html)を行った。更にテキサス州Austinの非線形力学センターのセミナーでも講演を行い、Harry Swinney教授他と情報交換を行った。
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