2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02F00805
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉山 淳司 京都大学, 木質科学研究所, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CLAIR Bruno 京都大学, 木質科学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 引張あて材 / 細胞壁構造 / 力学的最適化 / ゼラチン繊維 / FTIR / ケモメトリクス法 |
Research Abstract |
樹木は重力刺激に対して組織構造的・化学的に通常材と異なるあて材と呼ばれる材を形成する。広葉樹のあて材は多くの場合セルロースを多く含み木質化の程度が著しく低い細胞壁を形成し、収縮が著しいという欠点がある。本研究ではポプラ(Populus nigra)のあて材が乾燥による収縮過程で生ずる微細構造の変化をATR FT-IR法により調べた。試料には枝材を選択し塩化亜鉛ヨウ素染色法によりあて材の特徴の1つであるゼラチン繊維の分布を木口断面上で確認した。切り出したサンプルの木口面に指標となるメッシュを描き、乾燥前・乾燥後の状態を取り込み、画像処理により収縮状態を求めた。程度の異なるあて材及び正常材を同一円盤状よりトリミングして各2個ずつサンプルを調整した。1つは乾燥を行っていない水分の含んだ状態で重水素化し、もう一方は一度105℃で乾燥させた後重水素化した。重水素化の条件は180℃で1時間処理を行った。おのおのよりIRスペクトルをATR法により測定し、OH、CH/CH_2、ODに相当する領域のスペクトルの変化を比較し乾燥後の構造変化について考察した。スペクトルに対して主成分分析を行ったところ、乾燥によってセルロースミクロフィブリルのaccessibleな領域が増加するという結果が得られ、既報のクラフトパルプにおけるNMRでの結果に反していた。しかしながら方法論的に改善する余地があり、最終的な結論には至っていない。
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