2002 Fiscal Year Annual Research Report
希土類ポルフィリン錯体ダイマーを活用する超分子系の構築と応用
Project/Area Number |
02F00806
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
築部 浩 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SCHADEL UTA 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 希土類錯体 / ポルフィリン / フラーレン / 超分子錯体 / 分子認識 |
Research Abstract |
分子認識化学を活用して超分子機能系を構築することは、生命現象を分子レベルから理解するのに不可欠であるとともに、新規機能物質の開発など次世代物質創製の基礎を築くものとしても重要である。本研究は、特に優れた生体機能を担う生体高分子や興味ある材料特性を与えるフラーレン類に対して、特異的な分子認識機能をもつ希土類ポルフィリン錯体ダイマーを用いて標的基質のアップサイジングを可能として、分子認識化学の新しい領域を開拓するとともに、単分子レベルを超えた優れた機能性を発現する超分子系物質科学の開発を目指すものである。 当グループではすでに、希土類錯体の特徴ある高配位特性を基盤とし新しい分子認識系の構築に成功を収めているが、本研究では(1)特徴ある配位特性をもつ各種希土類中心を含むポルフィリン錯体を系統的に合成し、(2)多彩なダイマー構造をもつポルフィリン配位子を組み合わせた新規希土類錯体ダイマーの開発を図るとともに、(3)これら希土類ポルフィリン錯体をレセプターとする超分子錯体の形成過程をNMR法やCD法を駆使して検討した。本年度は研究期間が短期間に限定されていたが、すでに多彩な希土類ポルフィリン錯体が、光学活性アミノアルコールと高配位型錯体を形成し、ソ-レ帯付近に顕著な誘起CDスペクトルを与えることや、13Cラベル化フラーレンと化学量論的な錯体形成を行うことなどを見い出した。前者は新しいキラリティーセンシング材料として、また後者は高次機能化フラーレン材料としてそれぞれ興味がもたれる。これらの結果は、希土類ポルフィリン錯体レセプターが特徴ある超分子認識機能を発揮することを実証するものであり、今後の展開が期待される。
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