2002 Fiscal Year Annual Research Report
新規チアカリックスアレーンの設計と合成,及び機能分子素子への応用
Project/Area Number |
02F00818
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宮野 壮太郎 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BHALLA Vandana 東北大学, 大学院・工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | カリックスアレーン / チアカリックスアレーン / カリックス[4]アレーン / チアカリックス[4]アレーン / レセプター / シアノメチル化 / ジシロキサン / O-アルキル化 |
Research Abstract |
本研究の目的は,硫黄で架橋したフェノールの環状4量体「チアカリックス[4]アレーン」の機能開発の一環として,TCA単位を複数個有する新規レセプターの設計,合成,およびその機能開発にある。研究実施計画に従い,本年度はp-tert-ブチルチアカリックス[4]アレーン(TCA)の水酸基にアルキル基を位置選択的に導入する方法を検討し,以下の結果を得た。 1.TCAにシアノメチル基の導入を試みた。興味あることに,メチレン架橋カリックス[4]アレーン(CA)に較べて、異常に反応性が低いことが分かった。TCAをTHF中,炭酸ナトリウムおよびヨウ化ナトリウムの存在下にクロロアセトニトリルと7日間,加熱・還流させたところ,1,2-および1,3-ビス(シアノメチル)化体がそれぞれ5%および58%の収率で得られた。 2.1,3-ジ置換体は溶液中で,syn-体とanti-体が平衡状態にあるが,結晶化によりsyn-体に異性化するという,極めて興味ある現象を見出した。このsyn-anti異性化は通常のCAでは起こらないことから,今後,機構の詳細な検討が待たれる。 3.1,2-ジ置換体を選択的に得る方法を検討した。まず,テトライソプロピルジシロキサン架橋により1,2-水酸基を保護し,次いで上記1.と同様の方法でクロロアセトニトリルと反応させた。シリル架橋によりTCAの反応性が著しく増大し,炭酸セシウムを塩基として,1,2-シロキシ架橋-3,4-ジアルキル化体を選択的に得、フッ化物イオンで脱シリル化後,望む1,2-ビス(シアノメチル)TCAを55%の収率で得ることができた。1,2-ジアルキル化体についても,溶液中でsyn-体とanti-体が平衡状態にあることが分かった。
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